こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2021.11.15 第13回 伊丹十三賞 贈呈式を開催いたしました【1】
11月2日(火)「国際文化会館」(東京都港区六本木)において、第13回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました。
【清水ミチコさんと選考委員4名と宮本信子館長】
記念すべき「第13回」目の伊丹十三賞をご受賞くださったのは皆さまご存知、清水ミチコさんです。
例年、贈呈式にはたくさんの方をお呼びしておりますが、今回はコロナ禍の状況を鑑み一部の方を除いて無観客で開催し、式の模様は「Zoom ウェビナー」を通じてご希望の方にオンライン中継いたしました。
記念館便りでは、2回にわけてこの贈呈式の模様をレポートさせていただきます。まず、今週の記念館便りでは伊丹十三賞の周防正行選考委員からの素晴らしいご祝辞をご紹介させていただきます。
【ご祝辞を述べられる周防正行選考委員】
・・・・周防正行選考委員からの祝辞・・・・
【「喜んで受賞していただけるのだろうか?」という不安。】
受賞していただいて本当にありがとうございます。
伊丹十三賞で選考委員をやらしていただいてみんなでご受賞される方を決めた後に真っ先に思うのが「喜んで受賞していただけるだろうか」っていう不安なんです。
そういう気持ちになるっていうことは選考委員になって初めて知ったんです。
だから清水ミチコさんに玉置さんのほうから伊丹十三賞の受賞のお知らせをしたときに素直に喜んでいただけるものだろうかと。
玉置さんから「受賞していただけました」というのを聞くとほっとする、っていう。
だってある日突然「受賞されました」っていう報告があるわけですよね。
かなり驚かれるんじゃないかと。
(清水さん:「びっくりしました」)
そういうわけでありがとうございました、の後に、おめでとうございます。
(清水さん:「ありがとうございます」)
【伊丹十三賞を選ぶポイントは「名付けようのないことをしている人」】
ただ、多分僕が受賞者の立場に立つと一体どうしてどうやって選ばれたんだろうと気になると思うんです。
気になります?
準備委員会というのがあって、どういった人が伊丹十三賞にふさわしいかと、伊丹十三賞をいろいろバックアップしてくださるいろんな方から推薦があって、何人もの人、何人もの作品があがってきます。
4回準備委員会があってその中で清水ミチコさんを含めて6名の方が候補として選ばれました。
選考委員の4人が松家仁之さんの司会のもとに集まって、その6人の中のだれが一番伊丹十三賞にふさわしいかという議論をしていく。
そして1名を選びます。
そういう過程を経て今ここに。
いつもその議論に向かうときに、それぞれの人の作品も素晴らしいんですけれども、どなたが最も伊丹十三賞という名にふさわしいか。業績をあげられたんだろうか。
ご存知のように伊丹さんはデザイナー、イラストレータ、エッセイスト、俳優、映画監督、宣伝プロディーサーとしてもすごくその存在が大きかった。
まあ、それだけの分野で長く活躍して来られた人っていうのは、そうそう他にいらっしゃるわけがない。
で、選考の一番のポイントは伊丹さんが見たら「これはすごい」と思わず膝を叩く。喜ぶ。感嘆の声をあげる。そういう人やモノ、パフォーマンス、作品が伊丹十三賞を選ぶときのポイントになります。
で、もうひとつは、これは僕は強く思うんですけど「名付けようのないことをしている人。」
要するにいろんなジャンルがありますけれど、そのジャンル分けがなかなかできにくい人。新しいことを始める人。やっている人。それは今までの受賞者の顔ぶれを見ていただけると何となくわかっていただける。
逆に今までの受賞者の方をみて伊丹十三賞っていうのはどういうものかっていうのがもしかしたらわかってくるんじゃないか。
【こんなに近しく楽しませてくれていた人が候補の中にいる】
今回清水ミチコさんですけど、清水さんもモノマネ、女優、エッセイスト、ナレーターもやるし、テレビタレントとしてテレビのバラエティで活躍もされている。
本当に幅広く活躍されています。
だから、そのモノマネについてもただモノマネができるとか上手いじゃなくて、どう表現しているかっていうところでも、すごくユニークな活動をされている方。
本当にこんなに長く続くんだっていうくらい長きにわたって面白いことを続けて来られたわけですけれども。
その都度その都度いろんなふうに驚かせてくれている。っていうことがよくわかりました。
今回候補者の名前に 清水ミチコさんを見て、ドキッとして。
こんなに近しく楽しませてくれていた人が候補の中にいる。
【YouTubeっていう表現の場所で改めて清水ミチコさんがどれほど素晴らしいかどれほどすごいことをやっているか本当に印象付けられました】
長年活躍されてこられた清水さんに今どうして伊丹十三賞かっていうと、先ほど玉置さんからのお話しもありましたように、やっぱりYouTubeがすごく大きい。
そのYouTubeを始められたのが去年の4月ですかね。
本当にあのコロナ禍の中で、私自身も家に閉じこもることが増え、ものすごい閉塞感の中に生きていたんですけど、YouTubeを縦横無尽に展開される清水さんのパフォーマンスは本当に癒されるというか多くの人が元気づけられたと思います。
そのコロナ禍のなかで発見されたYouTubeっていう表現の場所で改めて清水ミチコさんがどれほど素晴らしいかどれほどすごいことをやっているか本当に印象付けられました。
これは伊丹十三賞を結び付けていく、無理やり結びつけるわけじゃないんですけれど例えば、小池百合子さんのモノマネに始まってそこにある鋭い批評精神だけどどっか柔らかいというか。
モノマネされた側が一体どう感じるんだろうか。
微妙な線。
非常にきわどく相手のふところに飛び込む面白さがある。
そこに展開される批評精神。
【世の中の人があまり気付いていない面白さを発見してそれをとことん楽しむ】
そしてついにモノマネを完成させる道をネタにしてしまう。
本当に伊丹さんと僕は映画製作のメイキングビデオで伊丹さんとは長く仕事をしたので、自分のやっていることを見せていく。
その過程を楽しむ。
そういうところでまた伊丹さんと近しいと思いましたし、世の中の人があまり気付いていない面白さを発見してそれをとことん楽しむ。
っていうところで本当に清水さんは伊丹さんと似ているなというふうに改めて思いました。
本当にそういうわけで改めて受賞していただきありがとうございました。
それではおめでとうございます!
これからも末永く面白がらせてください。
・・・周防正行選考委員からのご祝辞は以上でございます。
「これからも末永く面白がらせてください。」
清水さんにお贈りするにぴったりの言葉ですね。
そうです、私たちはずっとずっと長い間、清水さんに「面白がらせて」もらっていたんですね。
そのことを噛みしめることとなった、周防正行選考委員からの素晴らしいご祝辞をご紹介いたしました。
今週はここまでとなります。
来週の記念館便りでは、清水ミチコさんの受賞者スピーチを中心に贈呈式の模様をご紹介させていただきます。
お楽しみに!
スタッフ:川又
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