記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2021.07.05 旅とは何か

7月になりました。
梅雨が明ければ夏本番、ということになります。

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この夏、旅行をしてもいいものか、どうか、悩んでおいでの方がたくさんいらっしゃることでしょう。

あるいは、旅行はまだまだ、帰省もまだまだ、と割り切っていながら、夏休みや年末年始、GWが近付くたびに「旅や遠出の計画を立てられないのはつまらないなあ」と心が萎れそうになり、それに耐えるので精一杯という方も多いことでしょう。

わたくしは、と申しますと、旅行というものにそれほど興味がないといいますか、むしろ「苦手」と自覚しているほうなので、旅に出られないこと自体にはさほど苦痛を感じないのですが、たとえば――

  • 伊丹さんが小さい頃に家族と行った、京都府立植物園
  • 辻留さんに教わったと『女たちよ!』に書かれている箸屋さん、四条堺町の市原箸店
  • 『小説より奇なり』の三島雅夫さんの談話に登場した、昔ながらのお菓子屋さんいろいろ
  • 『あげまん』のロケ撮影に使われた日枝神社

といった、「業務をかねて覗きに行ってみたいところリスト」が全然消化できない事態には、少々焦りを感じはじめております。


「次に東京に行ったらついでに」「次に関西に行ったらついでに」と思っていましたら、その「次」の機会が全然来なくなってしまいまして......

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まあ、今の世の中、旅行や外出に関して、何の鬱屈も感じずに生きていられる人はいませんよね......というわけで、ここでひとつ、旅の達人・伊丹十三による名言を。

旅をする心を持つ人にとっては、近所を散歩して、見知らぬ道にふいと踏み入ることすら旅であるだろう。

「おしゃべりな旅人」『JJ』1975年6月号より

ご参考になりましたら幸いです。
どなた様もご自愛くださいますように。

学芸員:中野