記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2016.09.12 エッセイのイラスト

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。先週あたりから、記念館中庭の回廊でコオロギなど秋の虫の鳴き声を耳にするようになりました。昼間はまだまだ暑いですが、季節は夏から秋へと少しずつ移り変わっているようです。

さて、ここ記念館のグッズショップは、伊丹さんが描いたイラストを使った商品を数多くご提供しています。

伊丹さんのエッセイの挿絵であるイラストも多く、エッセイを読んだことのあるお客様が「このイラストが好きなので」と、その商品をお買い上げくださることも。本日は、エッセイのイラストとそれを用いた商品を、該当のエッセイといっしょにいくつかご紹介しますね。

スパゲッティの正しい食べ方

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著書『ヨーロッパ退屈日記』の「スパゲッティの正しい食べ方」にあるイラストから。

このエッセイには、

 

ず、イタリーふうに調理したスパゲッティの前にきちんと座る。
スパゲッティとソースを混ぜあわせたら フォークでスパゲッティの一部分を押しのけて、皿の一隅に、タバコの箱くらいの小さなスペースを作り、これをスパゲッティを巻く専用の場所に指定する。これが第一のコツである。

 

(中略)

さて、ここからが大事なところよ、次に、フォークの先を軽く皿に押しつけて、そのまま時計廻りの方へ静かに巻いてゆく、のです。そして、フォークの四本の先は、スパゲッティを巻き取るあいだじゅう、決して皿から離してはいけない。これが第二のコツである。 

などとスパゲッティの食べ方が細かく書かれていて、お客様の中には「実際にこの方法で食べてみた」という方もいらっしゃるようです。このエッセイの挿絵の一つ、フォークを持った手とスパゲッティが描かれ、「スパゲッティを巻くスペースを作る。」と書かれたイラストは、Tシャツとマグネットにプリントされています。

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二日酔いの虫

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男性がこめかみから何かを引っ張り出しているこのイラストは、著書『女たちよ!』の「二日酔いの虫」の挿絵です。何をしているところのイラストなのか?については、エッセイの本文にこのように書かれています。

「あのね、二日酔いのひどい時にさ、顳顬(こめかみ)んところに小さな腫れ物ができるんだよね。これが実に痒いんだな。痒いから掻き毟る。掻き毟るうちにだね、腫れ物が潰れるだろう。その潰れたところをよく見ると、なにか芯みたいなものがのぞいているじゃないか。ハハーンこいつだなと思ったから 、私はその芯をピンセットでつまんで、そおっと引っぱりましたね。すると出てくるんだよ、それが。ずるずると出てくるんだよ。紐みたいに、というか、干瓢みたいにというか、ともかく引っ張ればいくらでもずるずる出てくる」

このイラストは「スパゲッティの正しい食べ方」と同じくTシャツ、マグネットにプリントされている他、ゴム印にもなっています。Tシャツは白と黒の2カラーありますので、色違いで揃えてみるのはいかがでしょうか。

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新しい理髪師

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同じく著書『女たちよ!』の「鬚を剃った魚の話」には、「新しい理髪師」という題のイラストが載っています。エッセイにはこんなふうに。

仕方なく、私は大きな魚が白いエプロンをして理髪店の椅子にかけている絵を描いてやった。魚は小さな目で天井のほうを見ている。あるいはうたた寝をしているのかも知れぬ。そうして手前のほうには白い上っ張りを着て、鼻のまわりが妙に黒い、顔の長い猫が革砥で剃刀をといでいるのだ。

このイラストのうち「大きな魚が白いエプロンをして理髪店の椅子にかけている絵」はゴム印に、「白い上っ張りを着て、鼻のまわりが妙に黒い、顔の長い猫が革砥で剃刀をといでいる」イラストは同じくゴム印と缶バッジになっています。

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エッセイストであり、イラストレーターであった「伊丹十三」の記念館ならではの オリジナル商品ですので、伊丹さんの著書でイラストをご覧になったことがある方は、ぜひチェックしてみてください。逆に、気に入ったイラストが書かれているエッセイを読んでみるのもおすすめです。ぱっと目にするだけでも味のあるイラストばかりですが、どんなふうに描かれたのか、また、何のイラストかわかると、また違った面白みを感じるかもしれません。


スタッフ:山岡