こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2016.03.14 基本の春
最近、伊丹十三の著書と関連書籍を一から読み直しています。
これらはすべて、今でも書店・インターネットで
お求めいただける"現役"の書籍です。
「ここらでしっかり基本に戻らねば」と感じていたところへ、読み直してから取りかかるべき仕事が生じたので、これ幸運と取り組んでおります。
「基本に戻らねば」――というのも、先日、ほかでもない私の母が、本屋で目に留まった『伊丹十三の本』(新潮社)を買って読んだそうで、買った理由も「何も買わないと本屋さんに悪いから」という消極的なものだったらしいのですが、ある日の電話で開口一番「伊丹さんって面白い人だったのねぇ~!」と言ったのですね。
あれがよかったこれがよかったと報告してくれる母の話に相槌を打ちながら「そうか、こういうことを面白がってもらえる本なんだなぁ。自分は何度も読んでいて『知ってて当然のこと』と思い込んでしまっていたかもなぁ」と反省したのです。
(「何年も前に私が差し出した時には、素気なく辞退したじゃないの!」とも思いましたけどね、ちょっとだけね。)
母曰く「インタビューが全部いい、語り手の皆さんがすばらしい。
伊丹さんとの関係がすばらしい」。
殊に、岸田秀さんの「伊丹さんはあの頃育児に"凝って"いて」
という表現がツボにはまったようでした。確かに(笑)
記念館ができてもうすぐ9年になります。自分も周りのスタッフも勤続年数が長くなってきますと、「お互いにわざわざ話題にしない基本情報」が増えるせいもあってか、記念館便りでも、展示の中でも、お客様とのおしゃべりでも、ついつい小ネタに走ったり、「誰も知らなさそうな伊丹十三」を紹介しなきゃと力みがちになっていたような気がします。
伊丹十三の著書は館でも家でもすぐ傍にあるのに、引用元として確認するためや、印刷のゲラチェックで写し間違いがないか照らし合わせるためなど、"資料"として使うばかりになっていました。お恥ずかしい限りですが、字引のように開く以外に、最後に、純粋な一読者として手に取ったのはいつだったかしら――
伊丹十三のエッセイデビュー作『ヨーロッパ退屈日記』(1965)
山口瞳さんがつけた名キャッチフレーズ
今一度、伊丹エッセイに「ニヤッ」としながら基本をしっかりおさらいし、より多くの方々にお勧めできるようになって、10年目に入りたいと思います。
学芸員:中野
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5月15日、伊丹十三記念館は開館9周年を迎えます。
記念イベントを下記のとおり開催いたしますので、ぜひご参加くださいませ。
○無料開館...4月3日(日)
○収蔵庫ツアー...5月13日(金)~15日(日)※事前応募制・4月18日(月)必着
詳しくはコチラ
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