こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2015.11.02 伊丹映画の正しいすすめ方......
お天気がいいとまだ少し暑いけど、コーヒーの冷める早さに季節を感じるようになりました。今日は、霧雨の松山です。
注目映画の封切りや大規模な展覧会の開催といった話題で、文化系ニュースも秋らしくにぎわっているところ、松山郊外のノンビリとしたこの記念館まで足を運んでくださるお客様が日々いらっしゃり、嬉しくお迎えしています。
世間が慌ただしい師走の空気に包まれる日も近くなりましたから、ここに来たからには今のうちにゆったりしていってくださいね!
ヤマザクラもゆったりと紅葉が進んでいます。
(毎年のことながら、色づき具合も散り具合もマイペースなみなさん)
受付やカフェや展示室で、何となく始まったお客様とのおしゃべりが思いがけず弾むのは、スタッフとしてもとても楽しいものですが、シンプルな直球であるがゆえに、回答に窮するご質問をいただくことがあります。その代表が――
「伊丹さんの映画でおすすめはどれ?」
「ウッッ」
――「全部です!」と言い切れば答えにならないだろうし、かといってどれかひとつを選ぶのは立場上マズい気がするし、「お好みによりますね、どんな映画がお好きですか?」と質問で返すとお客様を困らせることになりかねないし――
と、そんなことを考えて言葉につまりながら、「そうですねぇ~、人気がある作品ということですと......」などと非常に歯切れの悪い反応になってしまいがちです。
(「笑えるのはコレとコレ、泣けるのはコレとコレ、前向きな気持ちになるのはコレとコレで......」となっていって、結局、全作品おすすめしていることも多々あります。)
なにせ、伊丹映画は、テーマいろいろ味付けもいろいろ。それでいて、10作品とも「映画はエモーショナルな体験、一種の異文化体験を楽しんでもらうための娯楽である」をモットーに作られています。だから、「どれを見ても楽しいですよ」とも言えますが「全部味わって!」とも言いたい気持ちも強くあり、それで答えに困ってしまうのだと思います。
はてさて、一体何とお答えするのが正解なのか――やっぱり、まずは本心で「全部です!」と宣言するのがいいのかな――
まぁ、状況に応じて「秋ですから恋愛映画がピッタリでは?」なんて、機転の利いたオシャレな答えができるようにもなりたいですね......そこまでの成長は何年先になるでしょうか......がんばります!
"伊丹式恋愛映画"といえば『あげまん』(1990年)
学芸員:中野
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通常は火曜休館とさせていただいていますが、
明日11月3日(火・文化の日)は開館いたします。ぜひお越しください!
※ 翌11月4日(水)振替で休館させていただきます ※