記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2014.07.14 旅の季節

もうすぐ夏休みの旅行シーズン。

ご旅行・ご来館の計画を立ててくださっている方もいらっしゃるであろうこの時期に、「旅の時代―伊丹十三の日本人大探訪―」という展覧会を企画した身で言うのはちょっとはばかられるのですが、わたくし実は、旅が、というか、旅行が苦手です。

tomo2012.JPG帰省でも出張でもない、県外への最新の旅は......

なんと2年も前でした! 広島県福山市。

 

以前はそんなことなかったのに、いろんなとこに行ったのに、どうしてかな、と考えてみたら、昨今の「早めがお得!」という旅行チケットの売り出しスタイルに乗りきれないとか、安さを優先すると変更・キャンセルできない不自由さが息苦しいとか、予定を立てて行動するのが苦手であるとか、自宅が好きなのでそもそもどこかへ行きたいと思うことがあまりないとか、地図があれば妄想でたいていどこへでも行けてしまうタチであるとか、ミもフタもないことにまで思い当たってしまったのでした。

そうは言っても全く旅行しないわけでもなく、まぁ、行けば行ったで誰よりもハシャいでしまうのですけれど......(←こういう自分の性格がメンドクサいから、旅が苦手なのかもしれません。)

 

entrance_screen.JPG企画展示室入口に映写している伊丹さんの旅名言のひとつ。

旅に距離は関係ない、と伊丹さん。これなら私でも毎日旅人になれます......

そんなわたくしでありますので、この展覧会の準備の最中にふと「あれっ、旅好きでもないのにこんな企画立てちゃったのはなんでだろ」と不思議に思う瞬間がありました。

自分があまり気に留めていないこと、苦手なことや考えたくなくて避けていることの中にこそ「そうか、なるほど」と感心するものがごろごろと転がっているし、発見したときの喜びが大きいからでしょうか。「旅行になんて滅多に行かないのにすみません」と申し訳なく思いつつも、大いに楽しんでいたのです。

(これまで同業の人とそういう話をしたことはありませんが、案外みんなそんなふうに企画を思いついているのかも......そういう視点で展覧会を観てみるのもおもしろそうです。)

伊丹十三は、そのような「みんなが深く考えていない問題」に着目して、考えて、語りかけるように表現する天才だったと思います。

伊丹さんがくれる「なるほど!」の嬉しさをお届けしたいなぁ、みなさんびっくりしちゃうぞ~と想像すると、ニヤニヤ笑いがあふれてきて止まらないことが何度もありました。

 

「旅なんてありがちじゃないの」「あまり興味ないわね」という方ほど、思わぬオモシロ鉱脈を掘り当てる可能性大!

shimoguri_narration.jpg

 『遠くへ行きたい』をはじめとするTVドキュメンタリー出演時に

伊丹さんが書いたナレーション原稿をズラリ並べています。

読んでるうちに、伊丹さんと旅をしている気分になれますヨ。

早めに旅行・お出かけの段取りをして、お仕事やお家のことをひととおり片付けて、計画通りに出発できる人のことも、ブラっと出かけるセンスのある人のことも、旅の苦手なわたくしは大変に尊敬しております。

その行き先として、この記念館を選んでくださったお客様に対しては、真実、心の中で合掌しております。距離には関係なく、心から大感謝。

 

どんなご縁でお越しくださる方にとっても、当館でのひとときがよい「旅」の思い出の場となりましたら幸いです。

学芸員:中野

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・<!!宮本館長がお盆に出勤いたします!!>・・・・・・・・・・・・・・・

 8月13日(水)13時~16時30分頃

 8月14日(木)11時~16時30分頃

当日の状況により、滞在時間は変更になることがあります。

ご了承くださいませ。