記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2014.05.19 開館7周年

2007年5月15日の開館から、早いもので、なんと7年が経ちました。

このところ、メールや文書で「7周年」と書くたび、その「7」の文字が発する時の重みと申しますか、強い存在感に圧倒されてしまうような、ほとんど驚きに近い不思議な気持ちを抱いています。

いろいろあったけどあっという間で、あっという間だったけどいろいろあって......ときどき「ヨイショー!」とがんばって、館長・館長代行・スタッフ一同、みんな元気に7周年を迎えることができたことがとても嬉しく、それというのも、この7年の間にご来館くださった132,697名のお客様のおかげと存じ、厚くお礼申しあげます。

さて、そういうわけで、開館記念ウィークの恒例イベント「収蔵庫ツアー」も7度目の開催となりました。
(ここでまた「7」と書いてつくづく思ったのですが、7度目にもなるというのに、なんで未だに大緊張してしまうのでしょう! 今回も初日の前夜は眠れず、初日は脂汗まみれ!)

俳優・映画監督・エッセイスト・テレビマン・商業デザイナーなど、さまざまの仕事で伊丹十三が書いた(描いた)もの使ったもの、それから日々の愛用品――とにかく、伊丹十三は「ものを捨てずに取っておく人」だったんだそうですよ――の数々が「展示風」に収められているコーナーが当館収蔵庫の2階にあるのです。その収蔵庫で、たとえば......

こんなものや――

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こんなものや――

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こんなものや――

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こんなものや――

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こんなものを――

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こんなふうに――

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1時間ほどご覧いただく催しです。どうです? なかなか楽しそうでしょう?(エヘン!)

収蔵庫ツアーの何が楽しいかというと、伊丹さんについてお客様といろいろお話しできるところです。収蔵品についてのご説明を一方的にお聞かせする「お堅いレクチャー」という雰囲気ではまったくなく(そもそもワタクシにその能力がないという説アリ)、参加者のみなさんとワイワイおしゃべりしながらご案内させていただいています。それぞれの方の心の中にある「伊丹十三像」を感じることができるので、私にとっては毎回毎回がとても貴重な体験の場。

事前にご応募いただいて当選した回の開催日時に合せてご来館いただく、ということで、お客様にお手間をおかけする催しではあるのですが、みなさま笑顔でご参加くださって、まことにありがとうございました。

5月15日(木)から18日(日)の4日間で頂戴したご感想をご紹介いたしますね。

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貴重な機会を提供いただきありがとうございました!! 想像以上にステキな"収蔵庫"で一日居ても楽しそうですね。今度宿泊ツアーなんて企画はいかがでしょうか?(笑)

カバンについたちょっとした飾り、再現された食堂にあるどこかの国の小ちゃな民芸品に一番心をひかれました。これらに伊丹さんのお人柄が感じられて見せていただいて感謝いたします。

収蔵庫と呼ぶのがもったいない様な特別な場所が見れてとても楽しかったです。また機会があればぜひ参加します!



とても楽しく、時代というものを感じつつ、伊丹さんの生き方を感じとることができました。ちょっとセレブなイメージで、近寄りがたい伊丹十三さんでしたが、深い知識に裏づけされた仕事人ということも理解できました。知ることは大切です。

 

記念館開館以来、自宅が徒歩5分のご近所にありながら、いろいろなタイミングをはかっている内に(館長がいらっしゃるときに......など)、結局初めて来館したのが1ヶ月程前。今回初めてツアーに参加させて頂き、多くの愛用品や直筆作品に触れ、ますます伊丹さんの世界にひき込まれました。至る所にこだわりや美意識が感じられ、普段の生活も楽しまれていた様子がうかがい知ることができ、大変良かったです。

 

ここまでいろいろな面でこだわられていたとは思いませんでした。まわりにまどわされることなく、自分がしっかりされていてとても個性を大事にされていて素敵だと思いました。

 

昨年度応募して......念願の収蔵庫ツアーに参加できました。まわりから「なんで(福岡から)愛媛に??」「伊丹十三記念館があるから」と一言こたえてます。再現された部屋、どんな本よんでたんだろうと興味津々でタイトルを端々みてしまいました。映画をつくるために関連した本......趣味の本......私も興味がある本があり、探して読んでみます。道具のえらび方、洋服の気に入ったものをついでついで着る感覚が同じ......またさらに親近感をかんじた一日でした。

 

伊丹十三記念館は2回目ですが、今回収蔵庫ツアーで普段見る事の出来ない物を見ることが出来、伊丹十三という人物の魅力をより理解出来たように思う。職場の人に「何しに愛媛に行くの?」と言われ、「伊丹十三記念館の普段見れない収蔵庫を見に行く」と答えてますが、あまり理解してくれませんでした。しかし帰ったら「一度行けば分かる!」とすすめようと思います。

 

数々の愛用品を見せてもらって、実際使われているのがすごくいいですね。飾ってしまうだけにしないのがよいです。実際のお家も見てみたいものです。

 

普段は入れない場所に入って時間を過ごすことができて、心おだやかな気持ちになりました。物を大切にしたり、お気に入りの物がたくさん並んで居たり、自宅は自分にとって居心地のよいところだったのでしょうね。私も居心地のよい場所をつくっていきたいと思いました。今日はたくさんのお話と作品と......ありがとうございました。

 

こんな機会を体験できて本当にうれしくたのしかったです。貴重な時間でした。人が生きてきたモノを見るだけでこんなに意義深いとは......自分の行き方もまたあらためて考え直すことができました。

 

あっという間の時間でした。すごく身近な人のように感じましたが、やはり全てにおいて才能があふれ出ているのに驚かされました。今日のこのひと時で、心が清らかになったように思います。これからの私の生き方も、少しは違ったものになるかも知れません。私なりに、こだわって暮らしたいと、改めて思いました。

 

4711オーデコロン。これが伊丹さんの匂いとのお話、時代の流れを今日この香りとともに拝見致しました。『お葬式』の驚きの映像から伊丹十三さんを好きになり、伊丹万作さんの作品の後を追い、十三さんの活字を再認識し、年一回東京からここへ通うようになりました。5月は桂が緑の風を受け、そのそばで楽しい時間をすごしました。これだけの遺品を良くぞ残して下さった、記念館に感謝。また12月に通って来ます。伊丹さんを知りたければどうぞお越しになることをおすすめします。

 

あっという間の1時間でした!! 大変貴重な伊丹十三さんの軌跡、たたずまい、姿勢、ひとりでも多くの人にこんなにステキな"アーティスト"という言葉を超えたひとりの人間の存在を知ってほしいです!! 本当に素晴らしい時間でした。きちんと"生きる"ことを考えたいと思いました。生きているうちにこんなステキな人に出逢えるかしら???

 

この収蔵庫ツアーに参加できることを何年も夢見ており、その夢が今日叶ったことを嬉しく思います。伊丹監督の映画は自分が4歳の頃から特に『スーパーの女』が好きで観ていました。歳をとるごとに伊丹監督がどんな方だったのか知りたくなっていました。今回、収蔵庫ツアーに参加できて、一層伊丹監督がどのような方だったのか、直接お目にかかれていませんが、この収蔵庫の空気を肌で感じることで知ることができ、近づくことができたのではないかと感じました。

 

監督はすべての物に愛着を持ち、様々なことに興味を持つ探検を楽しんでらっしゃったのではないかと考えました。服や万年筆など大切に末長く使うことに愛着を持ったところを見ると、伊丹十三は「愛することを愛した人」だったのではないかと思います。人に対しても愛を持って接していたんだなと分かることで、いかに宮本信子さん、そして息子さんたちを愛していたか、測り知れない愛を垣間見ることができました。様々なことを自分の目で見て、肌で感じて、考察していくという探検の精神は、自分も今後見習っていこうを思います。自分の中に小さな伊丹十三さんがいらっしゃってくれるぐらいになりたいです。

最後に、これからも自分は伊丹映画を愛し一緒に人生を歩んでいくんだろうなと思います。歳をとって分かる、様々なことを知って初めて分かる伊丹映画の新たな魅力に気づいたとき、再び、この伊丹十三記念館を訪れたいと思います。伊丹監督、宮本館長、お二人のことが大好きです。

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当館の開館記念日5月15日は伊丹十三の誕生日です。7周年を迎えた今年、伊丹十三が生きていたら81歳。

「伊丹さんが生きていたら、今の世の中に対してどんな行動を起こしてくれていたかな」と恋しく思うことがありますし、お客様からもそんなお声をよく頂戴しますが、「ちょっとちょっと、80歳を超えたらボクだって楽隠居といきたいよ。君たちがもっと頑張ってくれなきゃ困るナ」と伊丹さんに苦笑されている気がした7周年でした。

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庭の桂はまだまだ成長中。

携帯カメラでは写真に納めるのがタイヘンな背丈に~!

伊丹十三の世界を、より多くの方に、より楽しくお伝えできるよう、粛々と勉強してまいります。
これからもどうぞよろしくお願い申しあげます。

学芸員:中野