記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2012.12.17 夫婦のかたち

以前ご来館されたお客様で60歳前後のご夫婦がいらっしゃいました。
記念館ではご入館時に簡単に館内のご案内をさせていただくのですが、ご主人は説明をお聞きにならず奥様を残して展示室に入って行かれました。

残された奥様が私に向って
「あの人いつもああで私をおいて先に先に進んでっちゃうから、派手な服着せてるのよ~!遠くから見てもわかるでしょ!」とおっしゃいました。
そう言われてご主人のうしろ姿をみてみると、確かに派手な色の派手な柄のお洋服をお召しです。

「本人は気付いてないのよ!派手な服ばっかり着させられている理由!」
そうおっしゃって、奥様も展示室に進んで行かれました。

私は大変感心しました。開館当初の出来事ですが忘れられないエピソードです。夫婦生活を送る中で、困ったことを上手に解決された奥様に大変感心致しました。

さて、伊丹十三の奥さんはみなさんご存知のとおり当館館長宮本信子です。
結婚当時伊丹十三が36歳、宮本信子24歳。2人の年齢差は12歳。ひとまわりも年の差があったのですね。宮本信子はよく当時のことを振り返って「先生と生徒のような関係だった」と言っています。

「お蕎麦の茹で加減が伊丹さんの納得する水準に達しなかったら食べてくれず、何度も茹でなおした。そのあと一人でこっそり泣いたりした。」という話なんかからも、伊丹十三のような人の奥さんをするのは大変だったろうと想像できます。

あと、宮本信子は伊丹十三の事を「映画監督になるべくして生まれてきた人だ」と言って、伊丹十三に映画監督なることを強くすすめ、資金繰りなどでも伊丹十三が映画を撮れるようにいろいろと奔走したそうです。

お蕎麦は気に入るまで茹で直してくれる、成功も導いてくれる、伊丹さんは公私にわたって素晴らしいサポートを受けていたのですね。

それにしても、黙ってお蕎麦を茹で直してくれる人がいる生活なんて、羨ましいです!

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【画像:ドイツの伝統的な菓子パン「シュトーレン」。クリスマスの時期によく食べるそうです。現在、来春放送予定のNKH朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の撮影で忙しくしている館長から、スタッフへのクリスマスプレゼントとして届きました!おいしかったです。】

スタッフ:川又