記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2012.12.10 企画展示室一時閉室とリニューアルにつきまして

展示品入れ替え作業のため、本日12月10日(月)の閉館後から、企画展示室を一時閉室いたします。
と、申しましても、「父と子 -- 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 --」展が終わってしまうわけではなく...

大好評につき...

延長開催いたします!!

12月12日(水)~17日(月)は、常設展示室のみのご鑑賞となりますので、ご了承くださいませ。(※11日(火)、18日(火)は休館日です。)

1週間お部屋を閉めてさせていただく分、そして会期を延長する分、より濃厚な展示にバージョンアップするべく奮闘努力いたします。12月19日(水)の再開まで今しばらくお待ちくださいませ。

え? 「いっぺん観たからもういい、新しい企画まで行かないよ」? いやいや、そうおっしゃらずに。
今度あたらしく展示に加える『朱欒』、すばらしいのです!

『朱欒(しゅらん)』とは、大正14年から15年にかけて発行された同人誌なのですが、まず、メンバーがすごい。若かりし頃の伊丹万作、中村草田男、重松鶴之助...and more!
彼らは、旧制松山中学の生徒たちが『白樺』の影響を受けて発行していた同人誌『楽天』のメンバーで、青年となって進学や就職で上京してからも、その仲間と集まっては芸術談義を続けていました。そうするうちに生まれた『朱欒』は9号まで発行されました。

そして、その作り方もすごい。各自、溢れ出る創作意欲でもって小説や詩や戯曲や芸術評論それから絵画をものし、毎月の編集日にそれらの作品を持ちよって綴り、手描きの表紙をつける...回覧して、批評を書き込んで次のメンバーへ...つまり、印刷ではなくオール直筆、世に1号1冊しか作られなかった雑誌なのです。

同じ方法で作られた松中の『楽天』のほうは、残念ながら戦災によってすべて失われてしまい現存していません。
『朱欒』もまた長らく行方知れずになっていたのですが、中村草田男が亡くなって数年後に草田男の弟宅で発見され、以来、現在まで、中村家で大切に保管されてきました。

芸術へのあこがれと友情によって編まれ、幸運によって遺った、奇跡のかたまりのようなこの『朱欒』を、中村家の皆様のご厚意により「父と子」展にご出品いただきます。

冊子のかたちをしているので一度に全部をくまなくご覧いただくことはできませんが、入れ替え・ページ替えをおこなって、いろいろなページをお目にかけてまいります。

乞うご期待! 引き続きよろしくお願いいたします。

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12月12日(水)~17日(月)の企画展示室閉室中は、入館料大人500円/高大生300円/小中生200円で、常設展示室のみのご鑑賞となります。ご了承ください。(※11日(火)、18日(火)は休館日です。)

学芸員:中野