こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2012.08.20 『天皇の世紀』視聴レポート
グっと来たところ、衝撃を受けたところ、思わず笑っちゃったところ、深々と考えさせられたところはいくつもありましたが、当館と関連のあるエピソードを、最終回の第26話からひとつご紹介します。
滅多にサインをなさらない、ほとんどの場合は丁重にお断りなさったという大佛次郎先生(原作者)が、生前、熊本のロシア料理店のマダムに頼まれて、珍しく色紙をお書きになったことがあるそうです。「弟が『天皇の世紀』を熱心に読んでおりますので、サインをいただけませんでしょうか」とお願いされて大佛先生が書かれた言葉は、連載担当記者の櫛田氏の回想によれば、このようなものだったそうです。
どの花も
それぞれの
願いがあって
咲く
酔 大佛次郎
願いがあって
咲く
酔 大佛次郎
私はハっとしました。
実は、同じ文句を伊丹さんが書いた色紙が記念館に所蔵されているのです。
【展示はしていませんので画像でのご披露のみで申し訳ありませんが...】
「『天皇の世紀』撮影中、伊丹さんは大佛先生の原作本を片時も手放さなかった」という逸話も特別番組で紹介されていましたし、伊丹さん、大佛先生を心から敬愛していたんですね。
「熊本のロシア料理店を訪れてみたけれど、マダムは前年の5月に急性白血病で亡くなっていて色紙は行方知れず」と、このエピソードは結ばれていました。
色紙はその後も「発見」されていないのでしょうか......大佛先生の色紙も拝見してみたいですねぇ。できることなら、二人の色紙を並べて眺めてみたいですねぇ。
伊丹さん版サインのほうは、伊丹さんが大佛先生から受けた影響の浅からぬことを示す資料として、いつかお客様のお目にかけたいと思います。
ところで。(※ここから先は無駄話でございます)
8月13日(月)の放送初日、『天皇の世紀』「夜の部」を鑑賞するために、ワタクシ、鼻息を荒げて自宅のテレビの前に陣取っておりました。
本編開始前、特別番組のスリリングな構成に「興奮メーター」の針は早くも振り切れ、本編第1話「福井の夜」に続いて第2話「宵山の動乱」へ快調に突入、というところで、窓の外で雷鳴が......あら、稲光まで......嫌な予感......ほどなくして雨が......あっという間に土砂降り......あ、画像が乱れた......音声が途切れた......と思った直後、予感的中、画面は真っ暗闇に......しんとなった部屋に響く激しい雨音............
ええ、泣きましたとも。第2話の途中、嵐電に乗りながら京都の町並みについて説明する伊丹さんの姿が画面に映し出されてからも、しばらくの間はさめざめと泣きましたとも。よりにもよって『天皇の世紀』が40年ぶりに放送されているときに雷雨なんて! 神様、あんまりです! このために加入したのに~!(いえ、「昼の部」を録画しておかなかった自分が悪いのですケド......)
ま、そんなこともございましたが、翌日記念館で館長代行とカワマタさんに話したら結構ウケてくれたので、幾分かは元が取れたような気がします。悪天候で映像が乱れたり映らなくなったりするのが衛星放送というものですしね。これから加入される方も、その辺はよーくご了承ください。
ロンドンオリンピック、高校野球、さらに『天皇の世紀』一挙放送、ということで、我が家のオンボロテレビおよびレコーダーも私の心身も、耐久レースのような日々でした。
『天皇の世紀』をひととおり見終えて、すばらしい作品を満喫した充足感と、何だか妙に燃え尽きた感があります。「ああ、夏が終わったな」と。
【『天皇の世紀』最終回を見届けた後、ちょっとお出かけしてきました】
とはいえ残暑は続きます。そして、そろそろ夏の疲れが出る頃。皆様、引き続きシッカリとご自愛くださいませ。
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『天皇の世紀』再放送予定のお知らせ
ドキュメンタリー版 : 日本映画専門チャンネル / 9月18日(火)から
ドラマ版 : 時代劇専門チャンネル / 本日8月20日(月)からと、9月16日(日)から
ワタクシのように予想外の事態で悲しい思いをなさった方も、まるまる見逃した方も、再放送をぜひ。
※ドキュメンタリー版とドラマ版で放送チャンネルが異なる点、どちらも契約の必要な有料チャンネルである点、何卒ご了承くださいませ。
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もひとつ告知です!
伊丹十三監督作品『タンポポ』が「山田洋二監督が選んだ日本の名作100選喜劇編」(BSプレミアム)で放送されます。8月21日(火) 21時から、お見逃しなく!
学芸員:中野
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