

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2012.07.09 子供ノ誕生日ニ
「子供ノ誕生日ニ」
岳彦 オメデトウ 今日ハオマエノ誕生日ダネ
十年前ノ今日 オマエガウマレタトキ
父ハ物置ニハイツテ 郵便受ケヲツクツテイタ
ソノトキ父ハ嬉シサト 心配ノアマリ
何ヲシテヨイカ 自分ノスルコトガワカラナカツタノダヨ
スルトソノウチ 突然オマエノ最初ノ声ガ
高ラカニ聞エテキタ
ソノ声ヲ父ハ一生忘レナイダロウ (中略)
これは伊丹十三の父・万作が息子の10歳の誕生日に書いたものです。
心から子どもの誕生を喜ばれているのが伝わってきますよね。
現在の企画展「父と子 — 伊丹十三が語る父・伊丹万作の人と芸術 —」の中でこの父から子への手紙のゾーンは多くの方が涙を流されています。私も初めて読んだ時は号泣でした。
岳彦 オマエガ六ツノトキ 父ハ病気ニナツテシマツタ
始メノウチハネテイルコトガ苦シカツタガ
何年カタツトソレニモ馴レテシマツタ
タダ ヨク晴レタ日曜日ナド
オマエタチノ手ヲヒイテ郊外ニ行ケタラ
ドンナニ楽シイダロウト思イ
折角ノ夏休ミヲ ツマラナク過ゴス
オマエタチノ姿ヲ見ルト 泳ギヤ舟遊ビニツレテ行ケナイコノ身ガ
悔マレテナラナイノダヨ (以下省略)
病床でこれを書いている万作さんの気持ちを考えるとなんとも言えなく胸が苦しくなります。
明日は娘の4歳の誕生日です。生まれてきてくれた日の感動を忘れず、日々大切に過ごし明日は起きたらまず、生まれてきてくれてありがとうと伝えようと思います。
スタッフ:木山

記念館便り BACK NUMBER