記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2012.01.30 動物はお好きですか?

突然ですが、みなさまは動物はお好きでしょうか。私はほとんどの動物が好きです。写真で見る動物も動物園で見る動物や近所で散歩をしている犬や猫を見るのも好きで動物と接するときも興味深々で接しています。朝、通勤途中に猫を見かけました。白い毛並の黄色の目をした猫で家のカーテンから身体を出し、ガラス扉からこちらを見ていましたので私も見ていました。白猫はまるで「朝は特に冷えるねぇ」と言ってるように感じ、なんだか面白い光景だなと思わず笑ってしまいました。動物にも感情があるとテレビや雑誌でききますが、その一場面に出会った一日でした。実は伊丹さんは猫を飼っていまして、猫と一緒に暮らしているからできる話がエッセイに書かれていたり、イラストで表現されていたりします。猫ではありませんが昔犬を飼っていた私も「そうゆうことあるなあ!」と思う部分があるので楽しいです。そんな楽しい部分を一部ご紹介します。伊丹さんが飼っていたコガネ丸との話です。

猫というものは人間がいやがることをよく知っていて、なにかの事情で復讐(ふくしゅう)しようとする時は、必ずそれを狙(ねら)う。たとえば真っ白いバス・マットの上にウンチをする。トイレット・ペーパーで爪(つめ)を研いで、トイレット一面紙をまきちらす。しかも残っている紙の方にも深い爪跡が残されていて、引っ張り出しても引っ張り出しても穴があいていて使い物にならぬ、といったようなことをわざとやってみせる。自分が構ってもらえない時、つまり、一人で二日間も無人の家に置いてけぼりにされたような時、立った腹の持って行きどころが無くてそうゆうことをやる。明らかに腹いせである。私たちが帰ってきても出迎えにもこない。呼んでも返事もせずに不貞寝(ふてね)をしている。こういう時にはこちらも陰険な手段を用いて復讎する。つまり架空の猫を登場させるのである。架空の猫にはシロネという名がついているが、{これは黄金(こがね)丸に対する白銀(しろがね)丸の訛(なま)ったものである)}架空の猫であるから姿も形もありはしない。この架空の猫に呼びかけたり賞めたりするのである。不貞寝をしているコガネ丸に聞こえるように大声で賞める。「シロネ、ハイ、お手!うわあ、えらいねえ!ハイ、次コロリ!コロリは?えらいねえ!うわあ、シロネはえらいねえ!」だいたいこの辺で、コガネ丸は耐えかねて釣り出されてくる。そうして、注文もされぬのに自発的にコロリをやってみせたりする。こうしてわれわれは和解するのである。『再び女たちよ』新潮文庫 309ページ引用

IMG_4946縮小.jpgこのエッセイを読んでコガネ丸に会いたくなりました。感情豊かですね。記念館に伊丹さんが描いた猫の絵を元にした商品があります。猫の表情や身体をよく観察して描かれている愛らしい絵です。色んな絵がありますので記念館にお越しになった際には是非ご覧になってお気に入りを見つけてくださいね。


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←寝ている猫の絵はコガネ丸です。




IMG_4961縮小.jpgポストカードと缶バッチです。→


スタッフ:井川