記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2010.12.20 「父と子」展はじまりました

DVC00115.JPG本日12月20日(月)、新企画展「父と子 — 伊丹十三が語る父伊丹万作の人と仕事 —」初日です。

伊丹十三の父・伊丹万作を紹介する企画展なのですが、当館は「伊丹十三」記念館でございますので、ひとひねり加えまして「伊丹十三の言葉で伊丹万作を紹介する」という構成になっています。

映画監督・脚本家・文筆家として多くの名作を発表した伊丹万作は1900(明治33)年松山市生まれ。当時ほぼ不治の病だった肺結核にかかり、終戦翌年の1946年に亡くなりました。そのとき十三は反抗期の13歳。

「病床で神経質になりがちな芸術家の父には叱られた記憶しかない」、「反抗期に父を亡くしたから、父親に対して非常に複雑な思いを持ち続けてきた」と後に語っていますが、自らも二児の父となり、万作と同じ映画監督になると、深い理解と共感をもって、父であり芸術家である万作を語るようになります。

そして1995年9月に行なわれた万作の五十回忌には「父の役割は父の父の言葉を子に伝える"中間"である」として、万作の孫たちに万作について語りました。

今回の企画展では、そのようにして十三が遺した言葉を一種の「解説」としています。

十三は父の直筆原稿や愛用品、絵画などの遺品を大切に保管し、伊丹万作の記念館を作る構想を持っていました。

伊丹十三というフィルターを通すことで、伊丹万作を(歴史上の人物=遠い存在としてではなく)近しい存在としてより深く知り、そして楽しんでいただけましたら、この企画展は伊丹十三の遺志を実現する機会にもなると思います。

伊丹十三の作品と生き方が多くの人々に影響を与えたように、伊丹万作にもそのような影響力があると思います。展示されている原稿、日記、絵画、写真から、いいものをたくさん吸収していただけましたら、とても嬉しいです。

みなさまのお越しをお待ちしております。


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←そして私のトっちらかった仕事ぶりの証拠写真...
 (校正祭りのあと)

学芸員:中野