こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2009.05.30 初夏、理想的な休日(花も団子もあればなおよし)
新聞・雑誌・テレビの取材を受けると、「みどころ」をたずねられることが多々あります。それとは別に「個人的に気に入っているところはどこですか?」という質問を受けることもしばしば。
「一番おススメの伊丹映画はどれですか?」と聞かれるときと同じぐらい迷ってしまいますが、イラストやレタリングの原画があるからこそタッチや修正した箇所—伊丹十三の痕跡—がつぶさに見られる、という点がまずひとつ。そして、展示室にお客様の笑いがあるところもお気に入りです。
美術館や博物館へ行くのは、何かとてもシリアスで高尚なことだと構えてしまう...そんな方もおいででしょうけれど、もちろん、心静かに書画を愉しむというのもすばらしいことなのですけれど、何せここは「伊丹十三の家」なのです。リラックスして「わぁ」「へぇ」「おぉ」と楽しんでくださいましたら何よりです。
さてさて、お客様が一体何をご覧になって笑っていらっしゃるのかといいますと...
例えば、珍妙な発明品を携えて伊丹さんが旅をする『遠くへ行きたい』の名場面集。
例えば、小学校入学を控えた息子さんに「消しゴムにも正しい使い方があるのだと伝えたい」と熱く語るテレビコマーシャル。
例えば...(以下、上記同様、大真面目にトボける伊丹さんのユーモアあふれる映像の数々...)
見知らぬお客さま同士が並んでひとつの映像を見、ハハハフフフと笑う。映画館のようでステキじゃありませんか。展示室から笑い声が聞こえてくると、「ああ、こういうのっていいなぁ」としみじみ感じるのです。
昨日、道後へ行きましたら、道後公園の池に蓮が一面に咲いて見事でした。商店街を覗いてみると、湯かごを下げた浴衣姿の人々が、湯あがりの爽やかな空気を漂わせて歩いていました。暑からず寒からずの季節、池には蓮、湯上り爽快。寒い冬に温泉で温もるのも何とも言えない至福の時ですが、今頃の季節も温泉向きですね。
お湯でサッパリ、記念館で笑ってスッキリ。理想的な休日。
私はといいますと、湯の備えを持たずに家を出たことを少しく後悔しつつ、蓮の池を前に、ジュンサイの酢の物またはお味噌汁...レンコンの肉詰めあるいはきんぴら...そんなことを考えておりました。まったく花よりナントカです。
※道後温泉からのアクセス
お車:松山環状線などから国道33号線に入り高知方面へ。「松山ICまで2km」の緑色の標識付近にある「天山橋(あまやまばし)交差点」で左折すぐ。(所要時間15?20分)
公共交通機関:路面電車で大街道または松山市駅へ。伊予鉄バス・砥部方面行きへ乗り換え、「天山橋」停留所下車。徒歩2分。(所要時間15?20分)
写真上:あなたは「ハハハ」派?「フフフ」派?それとも「ニヤリ」派?な常設展示室の映像コーナー/写真下:道後公園の見事な蓮
学芸員:中野
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