記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2017.01.09 映画企画 リピート開催いたします!

実は、昨年末から薄々と気付いてはいたのですが......

rblossoms_w.jpgrblossoms.jpg記念館の前を流れる川の土手です。

もう菜の花が咲いています。
いくら暖冬だと言ったって早すぎやしないでしょうか。冬本番はこれから。寒くなったときに後悔しないでしょうか。油断して咲いてしまった花たちを過酷な運命が待ち受けているに違いない、と想像されて妙に心配な1月を過しております。とは言え寒くないのはありがたい。皆様もお元気にお過ごしですか?

さて、昨年6月に開始した「十三日十三時の伊丹十三映画」も、早いもので8回目を迎えようとしています。1月13日(金)の作品は『静かな生活』(1995年)。

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女子大生のマーちゃんが知的障害を持つ兄イーヨーと支え合って過ごす、てんやわんやのお留守番の日々を描いた青春映画。てんやわんやなのに「静かな生活」とはこれいかに!?

松山東高校時代からの伊丹さんの友人にして義弟・大江健三郎さんの短篇小説集の映画化で、伊丹映画唯一の原作もの。イーヨーのモデルで大江さんのご長男・光さんが作曲した音楽がサウンドトラックに使われていて、渡部篤郎さんと佐伯日菜子さんが演じる兄妹の健気な奮闘をやさしく彩っています。
「"まじめ"っていいもんだなぁ」「若いってすばらしい」と心が洗われる、美しい作品です。鑑賞後の清々しさは、伊丹映画の中でナンバーワンではないでしょうか。

当日お配りするミニ解説は、現在、鋭意作成中でございます。
8本目ともなれば慣れたもの、チョチョイのチョイ、と言いたいところですが、あらすじって難しいですねぇ!! 解説を作るたびに(つまり毎月)痛感します。

シンプルに、でもなるべく詳しく、そして誤りのないよう、映画を観る前に読むと興味をそそり、しかしネタバレはなく、観た後に読めば楽しさを反芻できる......強欲にもそんなあらすじを目指しておりますけれども、何より「ストーリーのツボを抑えているか、エッセンスを取り違えていないか」というのが、毎回、最大の課題です。
映画本編を何度も観て、シナリオも読んで、公開当時のパンフレットを読み返して、書いては直し、削ったり、前後を入れ替えてみたり。

minibooklets7.jpgこれまでの7作品分。苦闘の跡。

「伊丹さんの映画ならば流しさえすれば必ず楽しんでいただけるのだから、私の作る解説は面白くなくてもいいや、頑張んなくてもいいや」と思わずに、自分の勉強のため、勉強すれば未来のお客様のためにもなると信じて、気合いを入れて準備させていただきます。
映画をご覧にならない方でも、十三日のご来館者様にはお配りしておりますので、ご縁あってお手元に渡りましたときには、ぜひぜひご一読くださいませ。

この「十三日十三時の伊丹十三映画」は、3月で全10作品がちょうど一巡いたしますが、来年度も開催することにいたしました。
4月の『お葬式』から3月の『マルタイの女』まで制作年順に毎月1作品ずつ、常設展示室のモニターにかけていく予定です。(5月と8月は開催いたしませんのでご注意ください)

本年も、十三日十三時は記念館に集合、よろしくお願いいたします。

  • 「映画の時間に合わせて記念館に行けないよ~」という方に朗報! 日本映画専門チャンネルで「総力特集 伊丹十三の映画」が放送されます。新作ドキュメンタリー「タンポポ NYへ行く」もぜひご覧ください。2月4日(土)の19時からは「24時間まるごと」企画です!!

学芸員:中野