記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2022.11.28 白鷺


先日、お昼休みにお昼ご飯を買いに出かけて戻ってきましたところ、記念館の屋根の上に白鷺が二羽留まっているのを発見しました。「なんだか道後温泉本館みたいになっている!」と感動し、思わず撮影した次第です。

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道後温泉本館の建物の屋根の上には、羽を広げた白鷺のオブジェが乗っているのをご存知ですか。(現在、道後温泉本館は改修工事中で愛媛県宇和島市を拠点に活動する画家・大竹伸朗氏のデザインしたテントで覆われているのですが、そのテントにも白鷺が描かれています。)

道後温泉には、脛に傷を負った白鷺が湯に足をつけていたところ、傷が治って元気に飛び立って行き、その後それを見ていた人間が入浴するようになった、という「白鷺の伝説」なるものがあり、白鷺は道後温泉のシンボルとして使われています。


ちなみに、伊丹十三記念館から道後温泉までは距離は5kmほど、車で20分から30分もあれば到着しますので、記念館へご来館の際には是非道後温泉へ、、、と言いますか、道後温泉へお越しの際は是非伊丹十三記念館へ足を延ばしてみてください。
生きている白鷺が屋根の上で休んでいるのをご覧いただけるかもしれません。


記念館の隣を流れる小野川でもよく見かけます。


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ご来館の際には白鷺を探してみてください。



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小野川には亀の姿も。




スタッフ:川又

2022.11.21 「トリセツを読む人」

ある同僚スタッフ――まあ、仮に"Kさん"としましょうか(一人しかいませんけど)――は、物事の捉え方とその表現がちょっと独特かつ的を得ていて面白いなあ、とかねがね思っておりました。例えば、クッキーやスコーンを食べて「小麦粉って美味しいですよね」とか。
「ポイントそこ!? でもたしかに~、ハハハ」と感心&笑わせてもらうことしばしば。

Kさんの観察眼は、当然、周囲の人間に対しても向けられているわけですが、彼女は慎み深い人なので、すぐさまベラベラしゃべるということはなくて、ある時、何気ない会話の流れの中でポロっと出てくるんですね、私への評価(?)が。
そして「へぇ、そういうとこ見てるんだ」「それは気づいてなかった」等々、中野が知らない中野を中野に教えてくれるのです。

数年前「中野さんって輪ゴムが好きですよね」と言われたのはなかなかに印象的で、心に深く刻まれています。(だって、輪ゴムそのものが好き嫌いの対象になるものだとは思わないじゃないですか!)

※なお、Kさん曰く「自分は輪ゴムが嫌いというわけではないが、なくとも生活できており必要と思ったこともないから買ったこともない」→「中野さんはよく輪ゴムを使っているし見当たらなければ探しているし箱買いまでする」→「輪ゴムが好きな人」と判定、とのことです。

つい先日は「中野さんはトリセツ(取扱説明書)を読むタイプ」との評価をいただき、「そりゃ読みますけど、それほどでは...隅から隅までってほどでは...」「世間の大多数の人々に比べれば、かなりちゃんと読むほうですよ!」と、そんな会話がなされたのですけれども、その2日後、新しい電気ケトルを購入し帰宅した私が第一にやったことと言えば......取扱説明書の熟読、でありました。
た、たしかに......読みますね、トリセツ......電気ケトル、かなり単純な家電なのに......

あ、もしかしてKさん、私が最近こんな本をフムフムと楽しんでいるのを察知していたのでしょうか――

20221121_torisetsu_e.jpg(2021年10月・昭文社刊)

これは、元はというと昨年の帰省中に『岩手のトリセツ』を見つけて買い、「知ってるようで知らなかった故郷」に触れることができたので「このシリーズ面白いな~、愛媛版はまだ出てないのか~、刊行されたら買うぞ~」と心に決めていたものです。

※記念館記事掲載書籍ではありません、ご了承ください。念のため。

愛媛に住んでもうすぐ15年になる私でありますが、地形・地質、鉄道・舟運、産業・文化、その他いろいろの「そうだったのか!」が盛りだくさんで、少しずつ、味わうように読み進めています。何しろ、冒頭の地図4種だけでもずっと眺めていられるほどで......

昭文社ホールディングスHP内のサイトによりますと、「トリセツ」シリーズは "地元の方"向け(一般的な旅行ガイドとは真逆!)なのだそうです。
実際、「ちょっと知ってる」「だいたいの土地勘がある」のをベースに読んだ上で「知らなかった!!」となるのが楽しいのですが、「旅行先の自然の成り立ちや歴史の背景をあらかじめ知っておいたほうが、旅の深みが増すよね」という方の予習にも、大いに役立つことでしょう、オススメです。

記念館で、松山のあちらこちらで、ご旅行中と思しき方々をお見受けする機会が増えてきました。
予習シッカリ旅の方も、行き当たりバッタリ旅の方も、愛媛をご満喫くださいますように。もちろん、愛媛県にお住まいの皆様も。

20221121_meigetsuya.JPG名月や 池をめぐりて 夜もすがら
―併設小企画『伊丹万作の人と仕事』「手作り芭蕉かるた」より―
中秋の名月といえば大抵9月ですが、
11月、冴えた夜空に浮かぶ満月もイイですよね。

学芸員 : 中野

2022.11.14 メンバーズ会員様限定の秋の収蔵庫ツアーを開催いたしました

11月も半ばに差し掛かり、冬の気配が色濃くなって参りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

陽が落ちるのも早くなりましたので、最近は閉館間近になると記念館がライトアップされるようになりました。

 

 

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昼間とはまた違った雰囲気になるので、夕方頃ご来館のお客様には変わりゆく景色も楽しんでいただければと思います。

 

 

さて、本日の記念館便りでは11月2日から7日まで開催いたしました、メンバーズ会員様限定の秋の収蔵庫ツアーについてお話ししていきたいと思います。

 

記念館では、春と秋にメンバーズ会員様限定の収蔵庫ツアーを開催しております。コロナ禍ということもあり、開催を見送ってまいりましたツアーですが、この度2年ぶりに開催させていただくこととなりました。

 

収蔵庫ツアーは、普段お客様にご覧いただくことのできない収蔵庫を学芸員がご案内するツアーとなっております。収蔵庫と言いますと、様々な収蔵品が箱や専用のケースに入れられ、厳重に保管されている様子を想像される方も多いのではないでしょうか。

伊丹十三記念館では、収蔵庫の2階にいわゆる「収蔵庫展示」部分を設けておりまして、ツアー限定でお客様にご覧いただけるように整えてあるのです。伊丹さんが描いたイラストの原画や愛用品の数々、湯河原の自宅を再現したコーナーなど、伊丹さんのことをもっと深く知ることが出来る展示ばかりとなっております。

 

 

s-IMG_3184.jpg湯河原の自宅を再現したコーナー

 

こちらの湯河原の自宅を再現したコーナーでは、本や本棚の周りに置いてあるものは、湯河原にあった実物を記念館に持ち込んでいます。棚自体は新しく作ったものですが、湯河原の自宅の戸棚の扉や引き出しのサイズに合わせて作られており、実際に使用されていた扉や引き出しを見る事が出来ます。更には、テーブルと椅子も湯河原から記念館に持ってきた本物。壁と棚以外は全て本物を使用した、ツアーでも必見のコーナーとなっております。

 

記念館のスタッフになってから初めての収蔵庫ツアーということで、勉強も兼ねまして私も1組のメンバーズのお客様にご同行させていただきました。

 

メンバーズ会員の皆様は、記念館に何度も足を運んでくださっている方が多く、同行させていただいたお客様も、「あのエッセイの挿絵が!」「あの雑誌で見た愛用品が!」と充実した時間を過ごしておられました。

伊丹さんの蔵書をメモしてくださったり、映画に出て来た衣裳や小道具を実際に目にして「帰ってから映画を観なおします」とお話しくださったりと、お客様にとってもあらためて伊丹さんの魅力を知り、より伊丹さんの作品を楽しむきっかけとなったご様子でした。

 

伊丹さんを良く知ってくださっているメンバーズ会員様の熱心な質問から引き出されるエピソードも多く、会員の皆様にはぜひ体験していただきたいツアーとなっております。

 

ご入会いただいたその日から、1年間無料で何度でもご利用いただけるメンバーズカード。会員様限定の収蔵庫ツアーの他にも、宮本信子館長の出勤日のお知らせや記念館主催イベント時の優先的なご案内など、様々な特典もございます。下記のメンバーズご利用案内のページをご覧いただき、ご入会を検討いただけますと幸いです。

 

https://itami-kinenkan.jp/guidance/members.html

 

 

s-IMG_3183.jpgメンバーズカードには伊丹さんの可愛らしいイラストが

左側:灰色が3000円のカード、右側:白色が5000円のカードです

 

 

スタッフ:橘

2022.11.07 両方合わせてお楽しみください

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
すっかり秋めいてきましたね。ここ記念館では、桂の木や山桜に続いて、ヤマボウシも色づいてきました。

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さて、「もっといろいろな伊丹さんについて知りたい」という方に特にご好評をいただいているショップの人気商品に、書籍『伊丹十三記念館ガイドブック』とDVD『13の顔を持つ男-伊丹十三の肖像』があります。


書籍とDVDという違いはあるものの、どちらも伊丹さんが持っていた「13の顔」が紹介されています。記念館便りをご覧の皆さまの中にも、読んだり視聴したりしてくださった方がいらっしゃるかもしれませんね。

1107-2.jpg書籍『伊丹十三記念館ガイドブック』(税込1,430円)
表紙はイラストと写真の2種類あります
 


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DVD『13の顔を持つ男-伊丹十三の肖像』(税込3,300円)

この2つの商品は、どちらかだけでもじゅうぶんに楽しんでいただけますが――実は、同じ「13の顔」でもそれぞれで違う視点や表現で紹介されているので、両方をいっしょに読んだり観たりしていただくのも大変おすすめなのです!


例えば「イラストレーターの顔」。

DVDでは、『漫画讀本』のポスターに描かれたイラストなど、個性的なイラストが何点も映し出されます。そして、旅先でよくスケッチをしていたという伊丹さんが、絵を描くことの効用をこんなふうに語っている印象深い映像をご覧いただけます。

"スケッチをする何よりの効用は、否応なく、ものをはっきりと見定めなければならぬ、というところにある。漫然と眺めているとき、我々はいかに多くのことを見逃していることか。絵を描くのは、この際、言わばものをみる手段である。絵の出来不出来なんぞは初めから問題外である"

「遠くへ行きたい 明解・古座川図鑑」(1975年)ナレーションより


ガイドブックでは、そんな伊丹さんの緻密なデッサンやエッセイに添えられたユーモラスな線画などさまざまなイラストが掲載されています。

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伊丹十三記念館ガイドブック
「六 イラストレーター」より

ちなみに、一番多く描かれていたのは飼われていた猫だったそうです。
上述のとおり、猫たちをよーく見ていたから、伊丹さんはあんなにもいきいきとした猫たちが描けたのだなぁと納得してしまいました。

もう一つ例を挙げると、「料理通の顔」として、ガイドブックでは、伊丹さんがこだわって選び、使っていた調理器具や食器、食にちなんだエッセイや書籍が紹介されています。
そして、伊丹さんの手料理を食べた方々が綴ったエピソードなどを読むと、料理通としての伊丹さん像が浮かび上がってきます。

DVDでは、そんな伊丹さんの料理人ぶりが記録されたCMが収録されていますので、観るとよりイメージが広がるのではないでしょうか。味の素マヨネーズの「チーズオムレツ編」と「タタミポテト編」(ともに1984年)では、手際よく調理する伊丹さんの姿がご覧いただけます(できた料理も大変美味しそうです!)。

1107-poteto.jpg味の素マヨネーズ「タタミポテト編」(1984年)
DVD『13の顔を持つ男-伊丹十三の肖像』より


ご興味のある方はぜひ、ガイドブックとDVD両方で、伊丹さんという人物により深く触れてみてください。どちらもオンラインショップで取り扱い中です!


スタッフ:山岡