こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。
2022.04.25 【第11回「伊丹十三賞」受賞記念 玉川奈々福 独演会】
【第11回「伊丹十三賞」受賞記念 玉川奈々福 独演会】
去る4月12日(火)、第11回伊丹十三賞受賞者である玉川奈々福さんをお招きし、独演会を開催いたしました。ご応募・ご来場くださったみなさま、誠にありがとうございました。当日は約400名のお客様がご来場くださり、たくさんの方にご鑑賞いただきました。
イベント当日の様子は こちら でもご覧いただけます。
本日の記念館便りでは、奈々福さんの記念館来訪、独演会の様子をお届けしたいと思います。
奈々福さんは、曲師の沢村美舟さん、お弟子さんの玉川奈みほさんと共に午前中に松山へ到着されました。朗らかで温かく、優しいお人柄がにじみ出ているようでした。独演会前のお忙しい時間帯にも関わらず、熱心に展示をご覧くださいました。
[資料を熱心にご覧くださっている様子]
ひとつひとつ文章や映像をご覧くださり、美舟さんや奈みほさんと「面白い」、「すごい」と話しておられました。
[「可愛い~」と猫のイラストを観ておられました]
[丁寧に文章を読んでくださっています]
カフェもご利用くださり、当館でも人気メニューのみかんジュース飲み比べセット、期間限定の豆乳イチゴをご注文くださいました。
[カフェでの1枚]
和気あいあいとしたご様子でグッズもご購入くださり、収蔵庫も見ていただきました。
[売店の様子]
[お葬式の企画展示にて使用した顔はめパネルを見るみなさま]
独演会は、松山市総合コミュニティセンターのキャメリアホールにて行いました。
[キャメリアホール入り口]
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、座席は1席ずつ間隔を開けてご案内いたしました。
[座席]
[しつらえ]
演目は古典「仙台の鬼夫婦」、新作「金魚夢幻」の2本をご披露いただきました。
[古典 「仙台の鬼夫婦」にて]
初めて独演会に来られた方のために、演目に入る前に"浪曲とは何か"について詳しくご説明してくださいました。また、浪曲ならではの掛け声もご紹介くださいました。登場する際の「待ってました!」や、前口上あとの「たっぷり!」、演目が終わった後には「日本一!」と言うんだとか。ぜひ、気兼ねなく声を張れるようになりましたら、浪曲をご覧になる際は掛け声も楽しんでみてください。
浪曲が始まると、力強い唸りで圧倒され、細かく演じ分けられる男女の声や、目に浮かぶような情景に、あっという間に引き込まれました。伸びやかな声は、会場の外にいてもはっきりと聞こえるほどで、美しい語りでした。
[新作 「金魚夢幻」にて]
美船さんの息の合った合いの手も見どころで、浪花節にぴったりと寄り添う合三味線も素晴らしかったです。
[曲師の沢村美舟様]
お客様が思わず笑っておられる場面が多々あり、何度も割れんばかりの拍手が聞こえておりました。お客様がとても楽しんでくださった様子で、帰り際に「ありがとうございました」「楽しかったです」と口々に言ってくださったのが印象に残っております。浪曲の素晴らしさ、玉川奈々福様の素晴らしさを会場で感じていただけたのではないでしょうか。
また、会場に来ることが出来なかった方も、この記念館便りとイベントページにて、独演会の空気を少しでも感じていただけていれば幸いです。
これを機に、玉川奈々福様のブログやYouTubeチャンネルをご覧いただき、各地で開催される公演から、浪曲の魅力を追いかけてくださる方が増えることをお祈りしております。
最後となりましたが、ご応募・ご来場くださったみなさま、登壇くださった玉川奈々福様、沢村美舟様、舞台を支えてくださった玉川奈みほ様、松山市総合コミュニティセンターのみなさま、ITMグループのみなさまに深くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
今後とも伊丹十三賞そして伊丹十三記念館をよろしくお願いいたします。
スタッフ:橘
2022.04.18 第11回「伊丹十三賞」受賞記念 玉川奈々福独演会を開催いたしました/宮本信子館長が記念館に出勤いたしました
4月12日(火)、松山市総合コミュニティセンターにて 第11回「伊丹十三賞」受賞記念 玉川奈々福独演会を開催いたしました。
結論から申しあげますと、本当に素晴らしい、お客様、スタッフともに大満足の独演会となりました。
思い返せば、玉川奈々福さんに伊丹十三賞をご受賞いただいたのは2019年4月。現在が2022年4月ですから、丸3年前です。新型コロナウイルスの感染拡大等、諸々の事情による延期なども経て、この度ようやく実現の運びとなりました。
独演会の詳しい内容は、来週の記念館便りにてご報告させていただきます。
そして翌日の4月13日には、宮本信子館長が記念館に出勤いたしました。
12月の出勤から約4ヵ月。今回もご来館のみなさまとお話しをしたり、写真撮影をしたり、、、とあっという間の2時間となりました。次回の出勤も決まり次第記念館HPにて告知させていただきますので、みなさまお見逃しのないようチェックしてくださいませ。
シンボルツリー桂の健康状態も入念にチェック。
こちらは今回玉川奈々福さんにご使用いただいた、
かの有名なサンパチマイク(SONY-C38B)です。
漫才のセンターマイクに使用されていることで知られていますね。
大音量でも歪み感なく収音できる優秀なマイクです。
・・・と、知ったような口をきいてしまいましたが、
全て会場の舞台担当の方に教えていただいた情報です。
舞台のご担当のみなさま方には、右も左もわからない記念館スタッフに
一から細かく舞台上のことをご説明いただき、進行についてご指導いただきました。
そして一六、セブンスター、ネッツトヨタ愛媛のITMグループの皆さまも、
当日のサポートはもちろん、応募の手続きなどなど多大なるご協力をくださいました。
今回滞りなく独演会を進行することができたのは
多くの方々のご協力あってのことでした。
ご協力いただきました皆様、この度は誠にありがとうございました。
そして、玉川奈々福さん。この度はコロナ禍の松山に
素晴らしいエンターテイメントをご提供くださり、
本当にありがとうございました。
この場を借りてお礼申しあげます。
スタッフ:川又
2022.04.11 春の記念館よりお知らせ
記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
すっかり暖かくなり、中庭の桂が一気に芽吹いてきました。
小さな葉っぱが可愛らしいです。
さて4月になり、記念館も新たな年度が始まりました。
そんな記念館から2つお知らせです。
1)2022年度も開催!「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」
伊丹さんの名前にちなみ、「十三」日の「十三」時から伊丹十三監督映画作品を上映する「毎月十三日の十三時は記念館で伊丹十三の映画を観よう!」。
2022年度も開催いたします!
スケジュール等詳細はコチラ↓↓
https://itami-kinenkan.jp/event/event_showing.html
さっそく明後日の4月13日に、2022年度第1回の映画が上映予定です。上映するのは、伊丹さんの映画監督デビュー作『お葬式』(1984年)。
ご覧になったことがある方もそうでない方も、お気軽に、常設展示室のベンチに座ってご覧になってくださいね。
企画展示室にある、映画パンフレットもお読みください
特に、4月13日は宮本館長が11時頃~13時頃で出勤予定です。
宮本館長に会いに来館されたあと、そのまま映画鑑賞――なんていかがでしょうか。
2)豆乳イチゴ、スタートいたしました
カフェ・タンポポで毎年この時期に期間限定でご提供する「豆乳イチゴ」。
今年もスタートいたしました!
春らしいピンク色のこのドリンクは、愛媛県産イチゴと豆乳をミックスしたメニューです。豆乳のまろやかさにイチゴの甘味・酸味が合わさり、さっぱりとした甘さで幅広い世代のお客様から「美味しいですね~」とご好評いただいています!
期間限定ですので、ご来館の際はぜひどうぞ。
スタッフ:山岡
2022.04.04 読書
あっという間に桜の花弁が開き、ものの数日で満開になるのを見ては春を感じる毎日ですが、みなさまお変わりはございませんでしょうか。
先日、もう十五年ほど追っている作家さんが新刊を出版され、発売とほぼ同時に本屋に駆け込みました。新刊を抱えて本屋を一回りしつつ物色していたとき、ふと伊丹さんが書かれたエッセイを思い出しました。
私が現在本屋に支払う金額は、毎月三万円から五万円くらいであろうか。一般の人人から較べれば相当に多額の金を使っていることにもなるし、それだけ私は本を買うことについては習熟してもいる筈なのだが、どうも私は、いまだに本屋にはいると迷いに迷ってしまう。
(中略)
一度欲しいと思った本は、大概いつか買うんだから、今ついでに買って積んでおけばいいんだが、どういうんでしょう、やっぱり本屋廻りっていうのは、素寒貧の学生時代についた癖のせいか、今だに私は本屋にはいるとなぜか一冊か二冊を撰び出そうとして悩みに悩んでしまうのである。
(『ぼくの伯父さん』より「本屋」 p.105)
伊丹さんほどではないのですが、本も本屋廻りも好きな私は、この「本屋」のエッセイにとても親近感が湧きます。学生時代よりも自由なお金が増えたはずなのに、一冊の本を買い足すかどうかでしばらく悩んでいたりします。金銭的な部分もありますが、自宅の本棚のスペースにも限りがあるので、ここでも迷いが生じます。本の置き場所は長年の課題です。
読書の仕方は人それぞれだと思うのですが、私は一時間以上の移動を含む旅行や、二泊以上どこかに行く場合は、必ず三冊ほど文庫本を鞄に入れています。移動中寝てしまったり、携帯を見ていたり、人と会話していたりしてほとんど見ないことも多いのですが、一冊だとどうしても心細く感じてしまいます。
『ぼくの伯父さん』の中で、伊丹さんは読書について次のように書かれております。
旅行に出る時など、結果的には二冊もあれば十分なところを、六冊も七冊も鞄に詰めねば不安でならない。風呂へはいる時ですら二冊ぐらい持ってはいらねば心配である
(『ぼくの伯父さん』より「読書」 p.100-101)
初めて読んだとき、共感のあまり唸ってしまった箇所の一つです。流石にお風呂に本を持ち込むことはないのですが。
松山に住み始めて感じたことの一つが、電車に乗っているとき多くの人が本を開いているということです。前まで住んでいた土地では、どの年代の方もスマホをのぞき込んでいることの方が多かったので、とても素敵だなと印象に残っております。
ぜひ、みなさまがいろんな場所で開く本の中に、伊丹さんの著書が加わればと思うばかりです。
記念館では桂の木も少しづつ葉が芽吹いてきました。タンポポも咲きはじめ、本格的な春の到来に心が浮き立つようです。初夏が迫るなか、つかの間の春を感じて日々過ごしていきたいと思います。
スタッフ:橘