記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2022.02.28 「第11回伊丹十三賞受賞記念 玉川奈々福 独演会」開催のお知らせ

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
本日は記念館主催イベント開催についてお知らせします。

第11回伊丹十三賞を受賞された玉川奈々福さんをお招きし、浪曲を披露いただく「第11回伊丹十三賞受賞記念 玉川奈々福 独演会」を開催することとなりました!

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<独演会 概要>

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日程:2022年4月12日(火)

時間:19時開演(開場18時15分)

会場:松山市総合コミュニティセンター キャメリアホール

登壇者:玉川奈々福さん(浪曲師)、沢村美舟さん(曲師)

浪曲披露:古典「仙台の鬼夫婦」、新作「金魚夢幻」

参加料:無料 (※要参加証)

定員:先着500名

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詳細はこちら

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玉川奈々福さん(浪曲師・曲師)

撮影:御堂義乘

 


【プロフィール】
1964年7月19日横浜市生まれ。
1995年7月二代目玉川福太郎に入門。三味線の修行をしていたが、師の勧めにより2001年より浪曲師としても活動。2004年「玉川福太郎の徹底天保水滸伝」全5回、2005年「玉川福太郎の浪曲英雄列伝」全5回をプロデュース。2006年12月、奈々福で名披露目。2017年から18年にかけ、「語り芸パースペクティブ」全11回を開催。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作浪曲や、長編浪曲も手掛け、他ジャンルの芸能・音楽との交流も多岐にわたって行う。平成30年度文化庁文化交流使として、中欧、中央アジアの計七か国で公演を行った。

「浪曲とは?」という方もいらっしゃると思いますので少しご紹介いたしますと、浪曲は別名「浪花節」(なにわぶし)とも言われる、明治時代初期に始まった伝統芸能のひとつです。「曲師」という、浪曲における三味線演奏者が奏でる三味線に合わせ、語り手である「浪曲師」が独特の節(ふし・歌う部分)と啖呵(たんか・登場人物の台詞を話す部分)で物語を進めていきます。

譜面などもない中で行われる語りの演芸ですから、浪曲師と曲師の生の掛け合いも、見どころ・聴きどころの一つではないでしょうか。

そんな浪曲の世界で日々活躍されている奈々福さんに「現代の観客のこころを動かす語りの芸と、浪曲にあらたな息を吹き込む卓越したプロデュース力に対して(伊丹十三賞選考委員会)」第11回伊丹十三賞をご受賞いただいたことから、今回の独演会を開催する運びとなりました。

奈々福さんの "ほとばしる浪花節 "を、皆さまにライブでお届けします!

浪曲になじみのある方はもちろん、そうでない方も、ぜひこの機会に浪曲の世界をお楽しみください。

※ご参加には、参加証のお受け取りorお申し込みが必要です。先着順となり定員に達し次第、配布・受付は終了いたしますので、ご希望の方はお早めに(参加方法などの詳細はこちら)。

スタッフ:山岡

2022.02.21 

はじめまして。このたび、2月より記念館スタッフとなりました、橘さくらと申します。一日でも早く皆さまのお力になれますよう日々精進していきます。よろしくお願いいたします。

 

明日、2月22日は「猫の日」ですので、今回の記念館便りでは猫のお話をしたいと思います。

記念館では、伊丹十三の名にちなんで13のテーマに分かれた常設展示を行っております。その中に、"十 猫好き"というテーマがあります。伊丹さんは長く猫を飼っていましたが、著書『再び女たちよ!』の中で下記のように綴っておられます。

 

 私は猫を一匹飼っている。

 いや、この表現は正確ではない。私の気持ちの中では、猫は人間と対等の位置にある。日本語の便宜上「猫を一匹飼っている」と、書きはしても、私は、うちの猫のことを、一度も「一匹」と思ったこともなければ、また「飼っている」と感じたこともない。

 強いていうなら、私は、一人の猫と共に住んでいる、とでもいうべきだろう。

(『再び女たちよ!』より「猫」p.302)

 

共に暮らす猫の事をとても大切にしておられるのが窺える文章の一つです。

猫好きの方はお分かりになるかと思いますが、彼らは実に人間くさい生き物だと思っております。気にくわないことがあれば一端の人間のような表情をして我々に抗議し、適度な距離感を好み、実に自由です。

 

かくいう私も猫が好きで、幼い頃から一緒に暮らしたいと思っておりましたが、物心ついた時には重度の猫アレルギーでした。

そこで、ファインダーを通して猫との交流をするようになりました。カメラを持ってすれ違う際、ご挨拶の後にご機嫌を伺います。彼、もしくは彼女が逃げることなく一瞥をしたところで、初めて写真の許可が得られます。寒い季節には日向を、暑い季節には日陰を探しながら、しばしの交流をするのが趣味です。

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【尾道散策中に見つけた野良猫です】

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【香川県・小豆島での一枚です】

 

伊丹さんは猫が好きな理由について、下記のようにエッセイに書いています。

 

「どうして猫が好きなの?」

と、いわれても、それは困る。

 私が猫を好きなのは、なにか理由があってその結果好きだというのではない。理由などあれこれ考えるより以前に、すでに好きだという事実が厳存しているのであって、いわば好きだから好きだ、とでもいうよりしようがなかろう。

(『再び女たちよ!』より「わが思い出の猫猫」p.168)

 

猫好きであれば首が取れるほど頷いてしまう文章であり、伊丹さんの愛情の深さが伝わってくる、エッセイの中でも好きな文章の一つです。

 

伊丹さんが猫と共に写っている写真はどれも慈愛に満ちています。多数残っている絵の中にも猫の姿は存在し、香箱座りをしているであろう猫の滑らかな背や、「コロリ」をしている愛らしいしぐさ。生き生きとした表情に惚れ惚れします。

ぜひ、ご来館された際には伊丹さん直筆の絵をじっくりとごらんください。猫のイラストを使用したグッズも多数取り揃えております。また、ご紹介させていただいた『再び、女たちよ!』も館内ショップでのお取り扱いがございますので、お手に取ってくだされば幸いです。

 

立春とは名ばかりでまだまだ寒い日が続いておりますので、身体を冷やさぬようご自愛ください。

スタッフ:橘

2022.02.14 伊丹さんが13歳のときに書いた文章

記念館便りにおいても度々ご紹介している伊丹さんの単行本未収録エッセイ集「ぼくの伯父さん」(つるとはな)ですが、最近この本を読んでいて改めて驚いたことがあります。


タイトルの通り、なんと伊丹さんが13歳のときに書いた文章も載っているのです。


ご存知でしたか?「父の思い出」というエッセイです。


この「父の思い出」は「ぼくの伯父さん」が発行される前にも読んだことがあり、若いころに書いた文章だというのは知っていましたが、巻末の年表を見てびっくり。


昭和22年1月、ということは伊丹さん若干13歳です。


昭和21年9月に伊丹さんの父親である伊丹万作が亡くなりました。

その翌年1月に出版された「映画藝術」という本の中で伊丹万作の追悼特集があったそうです。
その特集に寄稿したものだということです。




大変読みやすく、とにかく大人の伊丹さんが書いた文章と並んでいて全く違和感がなく、まさか13歳の伊丹さんの書いた文章だったとは。。。


伊丹さんが亡くなり20年の月日が経過してから発行されたこの「ぼくの伯父さん」ですが、中学生の伊丹さんの文章が読めるとは、そして広く皆さまにお読みいただけるとは。

一伊丹さんファンとして、そして伊丹十三記念館スタッフとして、改めて「ぼくの伯父さん」の出版に感謝した次第です。


機会があればぜひご覧ください。





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スタッフ:川又

2022.02.07 椿まつり

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。寒い日が続きますね。

さて、2月3日から13日までの11日間、記念館から車で数分のところにある「椿神社」で、「椿まつり」が開催されています。

椿神社は正式名を伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)というのですが、通称「椿神社」もしくは「(お)椿さん」と呼ばれ、縁起開運、商売繁昌などの御利益があるそうです。

愛媛松山の方はご存知の方が多いと思いますが、毎年、この椿神社で旧暦の1月7日、8日、9日の3日間に行われるおまつりが「椿まつり」です。" 伊予路に春を呼ぶ " まつりとして親しまれていて、椿まつりが終わるとあたたかくなると言われています。

去年や今年は期間や時間等々、例年と異なる内容で開催されていますが、わたし自身松山市民ということもあり小さい頃から毎年訪れていまして、今年も、平日の昼下がりに参拝してまいりました。

記念館のこともしっかりとお祈りしつつ、以前別のスタッフも買ってきたことがあるという可愛らしいお守り「冨久椿(ふくつばき)」を頂いてきました。名前のとおり、" 冨久を招く縁起物 " だそうです。ほんわかした愛らしい笑顔で、見ているだけで和みます。

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冨久椿

椿まつりの期間中は、ご来館のお客様の中に「お椿さんの帰りです」とか「このあと参拝に行きます」という方が必ず何組かおられます。お時間ございましたら、ぜひ記念館にもお立ち寄りくださいね。

2月4日は立春でした。春の始まりとされる日ですが、まだまだ風も冷たく、気温も低めです。これから参拝に行かれる方は風邪などひかれませんよう服装などにもお気をつけください。

スタッフ:山岡