記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2017.02.27 「伊丹十三の言葉」

伊丹十三記念館には、公式twitterアカウント「伊丹十三の言葉(伊丹十三記念館)」(@juzo_itam)があります。
このアカウント、伊丹さんの著作からユニークなひとことを一日3回ツイートするbotなのですが、2017年2月現在、2,000人以上の方がフォローしてくださっています。記念館便りをご覧の皆様の中にも、フォローしてくださっている方がいらっしゃるかもしれませんね。

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記念館ウェブサイト・トップページの右下にある

「twitter」の文字をクリックしていただきますと
2つのアカウント「伊丹万作名言集」「伊丹十三の言葉」をご覧いただけます。


最近の「伊丹十三の言葉」から、リツイートやお気に入り登録をいただいているつぶやきを少しご紹介しますと――


「(編集とは)全体のバランスをとりつつ、快適なテンポを作り出すこと。見せるべきものはじっくりと見せながら、全体を現在進行形で押し切ること。(中略)材料という現実から出発して、架空の「最も映画らしい時間」というものを創り出すのだ。『「お葬式」日記』(1985)」

「カレー・ライスに使う御飯。あれはふっくらと炊けていて、しかも一粒一粒がくっつきあわずにぱらりとしていることが望ましい。だから私はカレーのための御飯を炊く時にはオリーヴ油を少し入れて炊くことにしている。『女たちよ!』(1968)」

「日本人というのは妙に工夫を凝らしたがる悪い癖がある。それをまたメーカーはよく知っているから、服でも車でも台所用品でも、なんだか知らんが妙なポケットがついたり、不必要な花模様がついたり、なにかこう小市民的に一工夫した奴を次次に捻り出してくる。『女たちよ!』(1968)」


――というように、内容はさまざまで、どれも伊丹さんらしい言葉です。

botアカウントというと、つぶやきのバリエーションが少ないものもありますが、「伊丹十三の言葉」は、いろんなことをつぶやきます。見るたびに、「印象的な言葉が、どうしてこんなにたくさんあるのだろう」と驚きます。
また、伊丹さんならではの語り口調がtwitterによく合っていて、既に知っている言葉でも、より身近に感じられるように思います。つい時間を忘れて見てしまいます。
というわけで、伊丹さんの著書はほとんど読んでいるという方にもおすすめです。皆さま、ぜひ一度ご覧になってみてくださいね。


≪カフェ・タンポポからのお知らせ≫


松山は、ようやく寒さが和らいでまいりました。カフェ・タンポポでは、季節のケーキを「いちごのタルト」にチェンジしております。

cake_0227.JPG一足先に春を感じていただけましたら幸いです。ぜひご賞味くださいませ。

スタッフ: 淺野

2017.02.20 大切なお知らせ 2

2月4日(土)から5日(日)にかけて日本映画専門チャンネルで放送された「24時間まるごと 伊丹十三の映画」、いかがでしたでしょうか?
伊丹十三特集はこれから長期にわたって放送していただく予定です。「24時間まるごと」を見逃してしまって地団駄踏んだ方も涙を流した方も、先週末から始まったレギュラー放送で、1作品ずつお楽しみください。

こんどの放送予定は――いいですか、メモのご用意はできましたか、大切なお知らせですからね、絶対絶対メモしておいてくださいね!!

3月11日(土)夜9時から
『タンポポ』
『タンポポ、ニューヨークへ行く』
『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』
の豪華三本立て!!

「24時間まるごと」のプログラムには入っていなかったメイキング『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』が加わって、いっそうにぎやかなタンポポ・スペシャルです。

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メモしましたか!? 録画の予約も「あとで」と言わずに今すぐ入れておいたほうがいいですよ!!

次回が二度目の放送となる『タンポポ、ニューヨークへ行く』は、このたびの北米リバイバルと30年前のアメリカでのヒットに関わった人、作品のファン、映画館のお客さんにインタビューして「アメリカ人は『タンポポ』をどう観るのか、どこをどう面白がるのか」を追ったドキュメンタリーです。

この番組を観ていて、インタビューに応じている方が、全員、愉快そうに『タンポポ』について語っていること、しかも、のびのびと、確信をもって語っていることに感銘を受けました。
前回、『タンポポ』について「一番好きな作品」と言ってくださる方がたくさんいると書きました。でも、実は「話の筋から逸れるシーンがたくさんあるから、作者が何を主張したいのか分からなくて戸惑う」とおっしゃる方が多い作品でもあるのです。

アメリカの人々が、それぞれの職業や経歴で培った見方に従って『タンポポ』を楽しみ、自由におしゃべりする様子を見ていて、「正しく"解釈"しなくちゃ、異国の映画だし」というような、委縮した態度や遠慮した表情がまったくなかったことは、痛快ですらありました。(そして、ついついミミッチクなりがちな自分の映画の見方を反省......)

伊丹十三は、J.P.サルトルの文学論を映画作りに"転用"して、こんなふうに語っています。

われわれは映画を半分しか作れない。そして、残りの半分の完成を観客の配慮にゆだねるため、観客の自由に対して映画を作る、ということです。(『「お葬式」日記』より)

『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』にも登場するフレーズですが、「"残り半分の完成"ってこういうこと、難しくないし、とても楽しいことですよ」と海の向こうの人々にお手本を示していただいて、映画というものの素晴らしさを再認識しました。

『タンポポ、ニューヨークへ行く』、ぜひご覧ください。

JPS_book.JPG≪伊丹十三による書き込みのあるサルトル全集≫
サルトルからの"転用"については、
企画展で詳しくご紹介しています。こちらもぜひ!

学芸員:中野

2017.02.13 DVD「13の顔を持つ男」特典映像

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。

伊丹十三記念館は今年5月15日に開館10周年を迎えますが、先日来館されたお客様の中に、10年前、建設途中の記念館を散歩中に毎日目にしていたという方がいらっしゃいました。
記念館の近くにお住まいで、建物などが少しずつ出来上がっていく様子を当時は非常に楽しみにされていたそうで、「あれからもう10年も経つんですね」とお話しくださいました。このようなお話をうかがうと、より一層10年の月日を感じますね!

さて10年前、記念館がどのようにしてできたのか――については、DVD「13の顔を持つ男」の特典映像「伊丹十三記念館ができるまで」でその当時のことを垣間みることができます。

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ナレーション曰く「その計画から完成までを見つめてきた記録」であるこの映像には、2005年12月27日に行われた伊丹十三記念館建設の記者発表の様子にはじまり、伊丹さんの遺した膨大な資料の整理に携わる人々、形作られていく記念館の建物とそれを視察する館長や関係者の姿、展示の企画会議、リーフレットや十三饅頭製作の様子――それらを経てついに迎えた2007年5月15日・伊丹十三記念館オープンの日の様子などが収録されています。そして最後はこんなナレーションでしめくくられています。

 

最後に、伊丹さんならこう言うでしょう。
記念館というのも半分しか作ることができない。
あとの半分はお客さんの心の中で完成するんです。
あなたがどんなふうに記念館を完成させるかを楽しみにしています。

23分ちょっとのこの特典映像で、本当にたくさんの人の想いがぎゅっと詰まって出来上がった記念館であることを再確認できます。10周年という節目を迎えるにあたり、記念館に来たことがある方、これから来られる方も「10年前はこんな様子だったんだな」とまた違った視点で記念館をみることができると思います。

この特典映像が収録されたDVD「13の顔を持つ男」は記念館ショップ、また、オンラインショップでお買い求めいただけますので、少しでもご興味を持たれた方はぜひご覧になってください!

IMG_0912 (300x200).jpg【DVD「13の顔を持つ男」】

スタッフ:山岡

2017.02.06 第8回伊丹十三賞・受賞記念イベント開催決定!

当サイトのトップページでもお知らせしております通り、第8回伊丹十三賞受賞者・是枝裕和監督による受賞記念イベント「是枝裕和×今野勉 対談 伊丹十三とテレビ」の開催が決定いたしました!

イベント開催を楽しみになさっていた方もいらっしゃることと存じます。
申込み受付は、「2月22日(水)10時」に開始致します。本日は、概要などをお届けします。

【イベント概要】--------------------------

≪第8回「伊丹十三賞」受賞記念 是枝裕和×今野勉 対談「伊丹十三とテレビ」≫

日  時:2017年4月8日(土)18時開演
会  場:伊丹十三記念館内「カフェ・タンポポ」
登壇者:是枝裕和氏(第8回伊丹十三賞受賞者)、今野勉氏(テレビ演出家・脚本家)
定  員:50名様(事前申込み・先着順・定員に達し次第受付終了)
参加料(入館料):800円(事前支払い)

※2月22日(水)10時に、申込み専用ページを当サイト内に開設いたします!
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是枝監督には、2016年春に「第8回伊丹十三賞」をお贈りさせていただきました。

その際に、「伊丹十三という名前は僕にとっては特別なものです。伊丹さんご自身もその志に共感して深く関わられていたテレビマンユニオンに僕も27年在籍していましたし、伊丹さんがそこで今野勉さんたちと作られたテレビ史において特筆に値する斬新で、軽妙で、それでいてテレビの本質を鋭くえぐった番組群は、僕自身がテレビについて考える上で最大の指針になりました。今回、その特別な名前のついた賞を頂けるのは大変光栄ですし、作品そのものだけではなく、それと向き合う姿勢や、組織のあり方も含め評価を頂いたのが、何より嬉しいことで、周りのスタッフも共に喜んでくれると思います。本当にありがとうございました」と、受賞コメントをお寄せいただきました。

今回の受賞記念イベントには、受賞コメントにお名前のあるテレビ演出家・脚本家の今野勉さんにもご登壇いただきます。是枝監督と今野さん、お二人による豪華対談なのです!

今野勉さんは、テレビ番組制作会社「テレビマンユニオン」の創立メンバーであり、現在は取締役でいらっしゃいます。
数多くの作品を手がけてこられた中で、伊丹さんと制作なさったテレビ番組としては、旅番組『遠くへ行きたい』をはじめ、歴史ドキュメンタリー『天皇の世紀』、ドキュメンタリードラマ『欧州から愛をこめて』などがあります。どれも、今見ても斬新です。
記念館の常設展には、伊丹さんの「テレビマン」としての顔を紹介するコーナーがあり、お客様から「放送当時に見たことを、鮮明に憶えています」とお声をかけていただくことがあります。
記念館グッズショップ・オンラインショップでも販売しております書籍『伊丹十三の本』(新潮社)には、今野さんのインタビューが収められており、テレビマンユニオンの皆さまとともに、伊丹さんが新しいタイプのテレビ番組作りに挑戦していた様子を、具体的なエピソードとともに知ることができます。
今回の対談のテーマは、「伊丹十三とテレビ」です。是枝監督と今野さんから貴重なお話を伺えることと存じますので、皆さま、ぜひご参加くださいませ!

0206_1_8th.jpg第8回伊丹十三賞の贈呈式当日に、
是枝裕和監督、宮本信子館長、選考委員のお一人である周防正行監督と、
当日お越しくださったテレビマンユニオンの皆さまでお撮りしたお写真です。
後列・右から3人目が今野勉さんです。


なお、今回の対談は、第7回「伊丹十三賞」受賞記念イベントと同様に、記念館内の「カフェ・タンポポ」で開催いたします。

0206_2_7th.JPG第7回「伊丹十三賞」受賞記念トークイベント時のカフェの様子


カフェならではの温かい雰囲気も楽しんでいただければ幸いです。お席に限りはございますが(定員50名/先着順・定員に達し次第受付終了)、皆様のお申込みをお待ちしております。

スタッフ: 淺野