記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2020.08.31 手書きのメッセージ

最近、テレビ番組やニュース記事などで、手書きの手紙や(絵)葉書を送る方が増えていると目にしました。

手書きの文字はそれだけでオリジナルですし、使用するペンや貼る切手、選んだ便箋や葉書のデザインからも、書いた人の人柄や表情が伝わってきますよね。そこに、気軽な対面でのやり取りが難しくなってしまっている現状も加わって、手書きのメッセージを送ろうと思う方が多くなっているのだそうです。デザインを選んで、書いて、投函して、配達されて――と時間を要しますが、確かに、送る側にも送られる側にも、手軽にメッセージを送りあえるメールやSNSとはまた違った楽しみがある気がします。
この便りをご覧の皆さまの中にも、この夏、手書きの暑中お見舞いや残暑お見舞いを送ってみた、もしくは受け取らたという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

さてそんな手書きのメッセージを送るグッズとして、記念館ではポストカードと一筆箋があります。
 
 
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 ポストカード売り場
 
一例ですが、以前ショップで、「友人にすすめられて観た映画『タンポポ』が面白かったので、これに感想とか書いて送ります!」と仰って『タンポポ』の映画ポスターをプリントしたポストカードを買われたお客様がいらっしゃいました。早速その場でメッセージを書き込んでおられましたが、そんなポストカードを受け取るのも楽しそうですね!
 
映画ポスターや伊丹さんの写真、描いたイラストなどデザインをいろいろ取り揃えていますので、ご自分の気に入った、また、相手の方の反応を想像しながら選んだポストカードで、手書きのメッセージを送ってみるのはいかがでしょうか。 
 
また、可愛らしいタンポポがプリントされている一筆箋は、ちょっとした一言を伝えるのにおすすめです。優しい手触りのアラベール紙を使っており、厚手の紙ということもあって2つ折りにしてカードとしてもお使いいただけます。
同じくタンポポ柄の封筒もございますので、ぜひ日常でやり取りする物や書類に添えてみてください。
 
 
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 一筆箋と封筒
 
どちらもオンラインショップで取り扱っていますので、ご興味のある方はチェックしてみてくださいね。
 
スタッフ:山岡

2020.08.24 味の素マヨネーズを使った簡単レシピをご紹介します


本日は、夏にぴったりのとある簡単レシピをご紹介します。


「まずマヨネーズ、ちりめんじゃこにパン。そしてなんと言っても決め手はコレです。しその葉っぱね。
パンにマヨネーズを塗り、しそとちりめんじゃこを手巻きにしてパクリ。」


簡単!


これは実は伊丹さんが出演していた「味の素マヨネーズ」のコマーシャルの一部です。


 

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【「味の素マヨネーズ サンドウィッチ編」(1985年)】

 


伊丹さんがお友達と長電話をしながらこの手巻き風サンドウィッチを作り上げるという設定のコマーシャルで、電話しながらあちこちに移動し、この料理を片手でちゃちゃっと作り上げ、最後に「電話の向こうの友人は私のこの快挙にまだ気が付いていない。」と締めくくります。



電話をしながらできるぐらい簡単手軽に美味しそうな料理を紹介されると「じゃあ作ってみようかしら」から「じゃあ味の素マヨネーズを買ってこようかしら」となりますよね。



このCMは記念館の常設展示室でもご覧いただけますし、DVD「13の顔を持つ男」にも収録されています。機会がありましたら是非ご覧下さい。撮影は数々のCMの舞台となった湯河原の住まいです。


そして、しそとちりめんじゃこのサンドウィッチも是非作ってみて下さい。

 

スタッフ:川又

2020.08.17 冷蔵庫と伊丹十三

先日、自宅のエアコンがウンともスンとも言わなくなりました。本体に貼られたラベルを見ますと「98年製」。まあ、天寿をまっとうしたと言えるでしょうか。

20200817_cicada.JPGちょうどその頃、記念館の庭ではセミの羽化ブームが
最盛期を迎えておりました。この写真の中だけで8匹分の抜け殻!

日に日に勢いを増す猛暑に弱り果てながら、何とはなしに部屋を見渡しますと、我ながら物持ちがいいと申しますか、単なる無精の積み重ねと申しますか、エアコンに負けず劣らずの年代物家電がそこここに。学生時代に買ったり貰ったりして、そのまま使い続けてきたものばかり。
「壊れてないから買い替える理由がない」と、未だにブラウン管テレビが現役だったりもするのですが、エアコンの次は、一番長く付き合ってきた冷蔵庫が寿命を迎えそうな気がしています。
あれは1997年の春......大阪日本橋のでんでんタウンにわざわざ出かけて行って、悩みに悩んで買ったんだったなぁ......

冷蔵庫といえば、70年代、ナショナルの冷蔵庫のCMに伊丹さんが出演していました。
その「語り」が面白いので、ちょっとご紹介します。

エー、明治5年、横浜の中川屋嘉兵衛という肉屋さんが、富士山から氷を運ぼうと決心した。

一体なぜそんなことを思い立ったかと申しますと、つまり、明治になって日本人は急に肉を食べ始めたわけです。ところがネ、肉というのはすぐに腐るでしょう? 肉を保存するためにはどうしても氷が必要である。

ところが、氷というのは当時はなかなかの貴重品で、驚くべし、何とアメリカのボストンから輸入していたというんだからたまげてしまう。
ボストンから、と口で言うのは易しいですけれども、ボストンから大西洋を渡って喜望峰をまわりインド洋を越えてやってくるというのだから、これはただごとではない。

そこで、中川屋嘉兵衛は富士山の氷に目をつけたわけです。富士山の氷穴から切り出した天然の氷を、馬の背中にのっけて一路横浜へ到着。さあ、開けてみよう!
......大失敗。

その後、中川屋嘉兵衛は函館五稜郭の氷を運び出すことに成功。
めでたく氷会社を開くわけですが、ものを冷やして貯蔵する、たったこれだけのことにも並々ならぬ苦闘の歴史があったのであります。

そして今、ナショナルのビッグ。
これはもうあなた、自分の家に富士山が一個あるのと同じヨ。

ナショナル冷凍冷蔵庫ビッグTV-CM「冷蔵庫のルーツ」篇
(1977年・テレビマンユニオン制作)より書き起こし

これは、アメリカの大ヒットドラマ『ルーツ』の日本放送に合わせて制作された、特別版の長編CMなんだそうです。ドラマに合わせてCMタイトルも「冷蔵庫のルーツ」。"再現ドキュメンタリー"仕立ての映像に実況風の語りを重ねる伊丹十三お得意の手法が冴え、ACC CMフェスティバルの秀作賞を受賞しました。

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常設展示室「十二 CM作家」のコーナーには、映像とともに、このCMのための制作メモを展示しています。完成形のCM映像とメモの違いを見比べたりすると、伊丹さんの工夫ぶりなども想像されて、いっそうお楽しみいただけると思います。
ぜひご注目ください。

まだしばらくは暑い日が続くことと思われますが、ヒグラシやツクツクホーシの声も聞こえてくるようになりました。あと一息、適宜涼みながら過ごしていきましょうね。(※我が家のエアコンは大家さんの思し召しにより新品に交換されました)

記念館限定販売のDVD『13の顔を持つ男-伊丹十三の肖像』(税込3,300円)には、ナショナル冷蔵庫のシリーズ以外にも、遊び心あふれるCM映像が多数収録されています。伊丹十三の愉快なCMを何度もご覧になりたい方、ご遠方で来館の難しい方、どうぞご検討くださいませ。

学芸員:中野

2020.08.10 ゴム印

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
各地で梅雨明けしてから暑さも本格的になってきました。外出されるときはもちろん、屋内でも、くれぐれもお気を付けてお過ごしください。

さて、皆さまはふだん、ゴム印やスタンプを使いますでしょうか。

私は主に仕事で使用することが多く、そのため「ゴム印、スタンプは紙(紙製のもの)に押す」というイメージを持っていたのですが、世間では紙以外に布やプラスチック、金属、木材などなど、いろいろなところにゴム印やスタンプが押せるスタンプ台やインクがあるそうですね。
記念館のショップでもゴム印を販売していて、お買い上げくださるお客様から、例えば保育園に通うお子様のお弁当箱やハンカチ、プラスチック製の空き容器、小さな花瓶などにスタンプを押してみます、というお話をうかがったことがあります。

手紙や葉書、手帳、メモ、封筒のとじ目などに押すという使い方も重宝しますが、紙以外のものに押せると使い方の幅がさらに広がりますよね。すでに実践なさっているという方も多いと思いますが、「へぇ、そういう使い方もあるのね」と思われた方は、いろいろなゴム印やスタンプを、いろいろなところに押してみるのも面白いかもしれません。

記念館で取り扱っているゴム印は、デザインが10種類、サイズ違いを含めると12種類あり、伊丹さんが描いたイラストなど「伊丹十三記念館ならでは」の柄が揃っています。日常で使うちょっとしたものに、記念館のゴム印でワンポイント加えるのはいかがでしょうか?

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記念館ショップは入口から入ってすぐのところにあり、お近くを通られた際のお買い物だけのご利用も大歓迎です!また、オンラインショップでも取り扱っていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。

スタッフ:山岡

2020.08.03 伊丹さんの子供時代の研究や日記などをご覧下さい


 先週末から松山では多くの小学校が夏休みに突入したようです。


 毎年夏休みの自由研究の課題等に伊丹さんを選ばれる児童さんや学生さんも多い様子で、鉛筆を片手に真剣に展示をご覧下さる方々をお見かけする季節となって参りました。


 さて、夏休みの課題に取り掛かる皆さまに是非ともご覧頂きたいのが、伊丹さん自身の子供時代の研究や日記や観察ノート等の数々です。
 常設展示室の「一 池内岳彦」のコーナーには「え、これ、小学●年生の時のもの??」と驚くような内容の品々が並んでいます。
 「伊丹十三記念館ガイドブック」にも小学2年生の時の「朝顔日記」をはじめとする子供時代の研究や日記などを一部掲載しています。

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【伊丹十三記念館ガイドブック 朝顔日記の最終ページと裏表紙の画像。

最後のページまで美しく仕上げているところが印象的です。】

 

 これらを見ると、伊丹さんが賢い子供であったということはもちろんですがそれに加えて、ノートはきちんと整理されていてとても見やすく、装丁なども美しくされていることにも驚きます。
 几帳面な性格が見て取れるところと、最初から最後までムラなく全体的にバランス良く仕上がっているところもとても印象的です。


 ご覧いただくと伊丹さんに触発されてより良い課題が出来上がるかと思いますので、ご来館の際には「一 池内岳彦」のコーナーをお見逃しなくご覧下さい。

 

スタッフ:川又