記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2016.08.29 9月の予定まとめます

9月の催しについて告知の機会をいただけるということで、最近、ご取材を2件お受けいたしました。ラジオとテレビです。

おもに収蔵庫ツアー月例化に関するプレスリリースを元にした収録ということで質問されるであろうことがほとんど決まっていたのと、どちらのご取材でも「こういう番組の中で、このぐらいの時間を使って、こういう順番に編集でつなげますから、ここではこういうお話をしてください」と丁寧に説明していただいたおかげで具体的なイメージを持つことができ、アガリ症の私でも(比較的)安心してお話しすることができました。

0829shuzoko.jpgご取材の方も収蔵庫のお下見を楽しんでくださいました

が、ド直球のご質問というものは、「よかった、今回はウロたえることなく終われそう~」と思った頃に、ズバーーン! と投げこまれるもので――

「では、ナカノサンにとって伊丹十三さんはどんな存在の人ですか!?」
「えっっ」

「ナカノサンにとって伊丹作品とは!?」
「ええぇっっ」

最重要事項だと承知していながら、こういった本質的なことほど、不意に尋ねられると身構えてしまいます。お答えするのに15秒ほど考えてしまったでしょうか。
「生放送じゃないから大丈夫ですヨ」と慰めていただきましたが、ひねり出した答えって伝わるものが少ないんだろうなぁ、と悔やみました。これからは、寝起きであろうが、夜道のすれ違いざまであろうが、聞かれたら即答できるようにしておかなくては!

そういえば、1年前には↓こんな投稿をしたのでした。"極意"のなんと遠いこと......
宣伝マンとしての伊丹十三」 


さて、9月の催しは大盛り&イレギュラーですので、予定を以下にまとめます。

1313_0914marusa2.jpgイレギュラー日程にご注意ください!

常設展示室で『マルサの女2』(1988年)を観よう!
9月14日(水)13時~
※"十三日・十三時の伊丹映画"シリーズの催しですが、今月は13日が休館日の火曜日にあたるため、翌14日の開催とさせていただきます。

月例収蔵庫ツアー
9月16日(金)11時~/15時~
※8月31日(水)までご応募受付中です。応募者多数の場合は抽選となります。
 10月16日(日)開催分は、9月17日(土)から30日(金)に受け付けいたします。
 詳しくはコチラをご覧ください。

宮本信子館長出勤
9月18日(日)14時30分頃~16時30分頃
9月19日(月祝)11時頃~15時45分頃
 ※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。

日に日に過ごしやすい気候になってまいりました。みなさま、ぜひお出かけくださいませ。

学芸員:中野

2016.08.22 収蔵庫ツアー

ご存知の方も多いかと思いますが、ここ記念館には「収蔵庫」と呼ばれるスペースがあります。

20160713154931_00001 (265x300).jpg

【記念館のリーフレットに載っている館内の見取り図。
左の方にある「6 収蔵庫」と書かれている部分です。】


文字通り収蔵品が収められている場所ですが、ここ記念館の収蔵庫は、資料をただ収めているだけではありません!
伊丹さんの遺した膨大な資料――原稿やメモ、イラスト原画、愛用品、蔵書、映画衣装等々――を、ジャンルごとに分けて「展示風に」収めており、また、映画『お葬式』のロケ地にも使われた湯河原にある伊丹さんの別荘のダイニングもこの収蔵庫に再現されているのです。

syuzouko(300x200).jpg

普段はお入りいただけない場所なのですが、この収蔵庫をガイド付きでご覧いただける「収蔵庫ツアー」を、9月16日より毎月1回、16日(16日が休館日の場合は17日)に開催することとなりました!

開館1周年記念イベント以来毎年5月に開催してきたツアーですが、これまで参加された方々から多くのご好評をいただいてまいりました。そこで、より多くのお客様にツアーを通して伊丹さんをより身近に感じていただきたい!ということで、ツアーを月例化いたします。以前ツアーに参加されたことのある方はもちろん、「伊丹さんってどんな人?」という方や「伊丹さんのことをもっと知りたい!」という方、「普段入れないスペースに入るなんて楽しそう」という方まで、奮ってご応募くださいませ。

応募方法など詳細はコチラ

******************宮本信子館長 出勤のお知らせ******************

ニュース欄でお伝えしておりますとおり、宮本信子館長の次回出勤日が決定いたしました!

kanthou.jpg

9月18日(日) 14:30頃~16:30頃
9月19日(月・祝日) 11:00頃~15:45頃 
※当日の状況により、滞在時間等は変更になることがあります。

皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ記念館に足をお運びくださいね。

スタッフ:山岡

2016.08.15 梅干

全国的に厳しい暑さが続いているようですね。夏の疲れが出る頃ではないでしょうか。
わが家では、夏バテ対策として、この時期に「梅ごはん」を作ることがあります。こまかくちぎった梅干をお米と一緒に炊くだけの簡単なものなのですが、さっぱりしていて、食欲が落ちた時にちょうどよいのです。
作るときに、ひとつだけこだわっていることがあります。それは、"自家製の梅干を使用すること" です。

伊丹さんのエッセイに、梅干についてこんな記述があります。

(前略)祖母は梅干作りの名人であった。梅酒を作るのもきわめてうまかった。その作り方を聞いておかなかった。伽羅蕗にしたって、私の祖母の作ったものよりおいしい伽羅蕗を絶えて食べないのだ。その作り方を聞いておくのを忘れてしまった。とりかえしがつかないとはこのことである。(中略)
梅干というのは、これはたいへんに手間がかかる。大体のことをいえば、一晩水につけた梅に塩をまぶして樽に入れおし蓋をする。水が上ったら重石をとり、塩でもんで紫蘇の葉を梅と交互に入れる。土用になったら紫蘇は絞って干し、梅は笊に上げて三日三晩干す。四日目からは昼だけ天日に干し、夜は樽につける。これを一週間つづけたあと密封し秋から食べはじめる。入梅時から秋にかけてこうして祖母が作った梅干には、なんとなく人生の重みとでもいうべきものがあった。(後略)

――「しまった!」『女たちよ!』1968年


わが家では、毎年梅雨の時期になると父がひとりで梅干作りをはじめます。ひとつひとつヘタを取り、笊に均等に並べ、天候に一喜一憂しながら天日に干しては室内に取り込み......と、エッセイに記されているのと同じように、かなり手間がかかっています(家族や親類が食べるだけなのですが)。

umeboshi.JPG天日干し準備中の様子


傍で見ていますと「市販の梅干でも良いのでは」と思ったりもしますが、手間ひまかけて出来あがった梅干で作る夏の梅ごはんは、やはり、ひと味違っておいしいものです。
いまのところわが家では、「梅干は父がひとりで作るもの」ですが、先ほどのエッセイには、こんなことも書かれています。

その人一代で絶えてしまう名人芸は、日頃から伝承しておこう。


――そうですね。これからは「名人芸伝承」のつもりで、作り方のコツを教わってみようかな、と思います。

皆さまにも、それぞれの暑さ対策がおありのことと存じます。涼しくなる頃をたのしみに、どうぞご自愛くださいませ。


・・・・・・・・・・≪お知らせ≫・・・・・・・・・・


明日・8月16日は火曜日ですが、お盆期間中ですので開館いたします。皆さまのご来館をお待ちしております!

summer_1.JPG

スタッフ:淺野

2016.08.08 うわあ、いいな。いいな。

暑い日が続きますが、今年も何とか立秋を越えました。残暑お見舞い申しあげます。
過ごしやすい季節になるまでは、まだしばらくの辛抱ですね。くれぐれもご自愛ください。

karuta_inoshishimo.jpg企画展示室の「伊丹万作の手作り芭蕉かるた」は
暦に応じて秋の季語ものに入れ替えました。

高校時代の思い出が綴られた伊丹エッセイの中に、夏についてのこんな記述があります。

夏の盛りには、時間はほとんど停止してしまう。たぶん一年の真中まで漕ぎ出してしまって、もう行くことも帰ることもできないのだろう、とわたくしはおもっていた。あとで発見したのであるが、人生にも夏のような時期があるものです。

「最終楽章」『ヨーロッパ退屈日記』1965年

途中まで「そうですね、まったくそのとおり、止まってしまいますよね」と頷きながら読み、"おもっていた"(過去形)から先で「ああそうか、自分はもう大人だから"停止"してる場合じゃないんだった」と思い改める――何度も読んでいるはずなのに、毎回このパターンになってしまうのはなぜでしょう?
進歩のすっかり止まったらしい頭にガッカリしつつ、身体だけでも止まらないように、せっせと水分栄養補給をしています。

暑さついでに「夏にまつわるエッセイ」をもう少し――

田舎の葦簀張りの休憩所や、場末の映画館の売店や、そういう場所で、ぼくはずいぶんラムネを飲んだなあ。そうしてラムネを飲んで元気を出した。
ラムネはたいがい大きな、水を張った金盥の中に沈んでいたり、ブリキの箱の中に氷といっしょにはいっていて、だからラムネの壜は必ず濡れていた。乾いているあいだは検査証みたいな青い紙の封印がしてあるけど、冷しているうちにたいがい剥がれてしまう。
そういうラムネを買って、あの独特の「ラムネの蓋開け器」でもって、ラムネの壜をシュポン! と抜く。ラムネが泡立って、ビー玉がコロコロして、うわあ、いいな。いいな。

「悪魔の発明」『女たちよ!』1968年

読んでいるこちらも「うわあ、いいな。いいな」となりますねぇ、そして「ラムネを飲んで元気を"出した"」という表現がすばらしいですねぇ、暑さに挫けた心がちょっと勇気づけられる気がします。

――と、このように伊丹エッセイに登場したラムネは、残念ながら記念館のカフェ・タンポポでは扱っておりませんが、夏のお客様に猛烈にオススメのメニューがございます。

icedcoffee1608.jpgタップリサイズでございます。ごゆっくりどうぞ~

「なーんだ、アイスコーヒーじゃん」と侮るなかれ。たしかに、種も仕掛けもないアイスコーヒーです。さわやかで芳しく、美味。しかし、良いのはお味と香りだけではありません。
グラスに格子状の模様が見えますでしょうか? その格子模様のデコボコは、グラスの外側ではなく、内側にあるのです。ということは......そうです。

アイスコーヒーをストローでクルクルしていただきますと、グラスの内側のデコボコと氷が触れあって、まことに涼しげな、い~い音が、カラカラ、コロコロ~ン、と店内いっぱいに響くのです。

ご来館の際には、カフェにもぜひお立ち寄りください。ときどき納涼しながら秋までがんばりましょう。

※このグラスでご提供するメニューはアイスコーヒー(500円)のほか、豆乳アイスコーヒー(600円)がございます。どちらも夏季限定のメニューです。

学芸員:中野

2016.08.01 伊丹十三記念館オンラインショップ

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。
ここ松山は、連日最高気温が30度を超えるなど暑さも本格的になってまいりました。熱中症予防など暑さ対策が必要な毎日ですが、皆さまのお住まいの地域はいかがでしょうか。

さてご存知の方も多いと思いますが、館内には記念館のオリジナルグッズを多数ご提供しているグッズショップがあり、伊丹十三の著書や記念館のガイドブック、イラストを用いた雑貨、Tシャツ等々...「伊丹十三記念館」ならではの商品を取り扱っています。
お越しくださったお客様を中心にご覧いただいていますが、「記念館に行ってみたいけど、なかなか行く機会がない・・・」という方にもオリジナルのグッズから少しでも記念館を知っていただきたい!ということから、インターネットを通じてオリジナルグッズをご注文いただける「伊丹十三記念館オンラインショップ」も展開しています。

記念館ホームページからアクセスしていただけますので(すぐ下の画像の赤丸のところです)、お気軽に覗いてみてください。もちろん、「以前購入したグッズをもう一度購入したい」という方も大歓迎です!

20160801homepage.png

本日は、オンラインショップで人気の商品など、いくつかご紹介させていただきますね。


●やっぱり十三饅頭


20160801manju1 (250x167).jpg

20160801manju (250x188).jpg

その企画から、味、サイズ、パッケージに至るまで宮本館長がこだわりぬいて誕生した「十三饅頭」は、オンラインショップでも人気商品です!
実際に伊丹十三が書いた「十三」という字を焼印にして押し、濃茶と黒のパッケージは記念館の建物の形を模したもの。記念館を象徴する一品ですので、来館されたことのないお客様も、記念館ならではのこだわりや雰囲気を感じていただけるのではないでしょうか。

●人気のDVD・「13の顔を持つ男-伊丹十三の肖像-



20160801dvd.jpg20160801kinenkan (300x169).jpg
「いかにして伊丹十三は、『あの』伊丹十三になったのか」というオープニングナレーション通り、様々な顔を持つ伊丹十三の生涯を142分にわたり紹介したDVDです。
見ごたえたっぷりの本編に加え、特典映像として「伊丹十三記念館ができるまで」が収録されています。記念館の計画から完成までを記録したこの映像では、記念館が形作られていく様子を見ることができます!

伊丹十三記念館ガイドブック&絵コンテノートもおすすめ

20160801ekonte1 (171x240).jpg

20160801ekonte (300x225).jpg
書籍では、おなじみ「伊丹十三記念館ガイドブック」のほか、「映画『お葬式』シナリオつき絵コンテノート」も好評をいただいています。
伊丹十三の初監督作品となる『お葬式』、その撮影前に全編にわたって描かれた300枚以上の緻密な絵コンテとシナリオが余さず収録されたこの絵コンテノート。「『お葬式』日記」(文藝春秋)に掲載された監督ロングインタビューも読むことができますので、映画『お葬式』好きな方はぜひ!

また、伊丹十三のイラストをプリントした缶バッジやマグネット、手拭いなども人気ですので、ご興味を持たれた方は、ぜひオンラインショップをチェックしてみてくださいね。

スタッフ:山岡