記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2016.02.29 猫好き

2月22日は、猫の鳴き声にちなんで「猫の日」だったそうですね。
当日は、「猫の日」がニュースでも大きく取り上げられていて驚きました。なんでも、近年家庭で飼われているペットの数は、犬が減っているのに対して猫は増加しているなど、猫ブームなのだとか。

実は、伊丹十三記念館の常設展示室には「猫好き」という展示コーナーがございます。
常設展示室は「十三」の名前にちなんで13のコーナーに分かれており、伊丹さんの仕事や趣味をご紹介しているのですが、その10番目のコーナーが「猫好き」。猫がお好きだった様子を、伊丹さんの描いた飼い猫の絵などでご覧いただけます。

「猫好き」という一つの展示コーナーができてしまうほどに、猫がお好きだった伊丹さん。
どうしてそんなにお好きだったのでしょうか。ご本人は、エッセイ『再び女たちよ!』の中で――


「どうして猫が好きなの?」
と、いわれても、それは困る。
  私が猫を好きなのは、なにか理由があってその結果好きだというのではない。理由などあれこれ考えるより以前に、すでに好きだという事実が厳存しているのであって、いわば好きだから好きだ、とでもいうよりしようがなかろう。

(伊丹十三著『再び女たちよ!』―わが思い出の猫猫―より)

――とおっしゃっています。猫がお好きな方は、記念館の「猫好き」コーナーをのぞいてみたくなりませんか......?

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常設展示室「十 猫好き」コーナー


この展示コーナーだけではなく、記念館のグッズショップには伊丹さんが描いた猫のイラストを用いたオリジナルグッズもあり、オンラインショップでも一部お買い求めいただけます。

neko_goods.JPGオリジナルグッズの一部


猫好きの方は、ぜひどうぞ。


スタッフ:淺野

2016.02.22 再入場につきまして

美術館や博物館で展示を見ている最中に「ここは順路のうちのどのあたりなんだろう?」「このペースで見ていて時間内に見終れるかな?」と気になったり、「さっき見たのをもう一度見たくなっちゃった、戻っていいのかしら?」と心配になったりすること、ありませんか?

出口に「再入場できません」と表示のある施設だと、展示室を出るのにちょっと勇気が要りますね。「そうキッパリ言われると......後悔のないように、私はしっかり鑑賞しただろうか」と。

というのは私が極度の貧乏性だからかもしれませんが、自分が鑑賞者として初めて訪ねるところでは特に、「最初にザッと展示室の様子を把握できると安心だなぁ、ペース配分を決めてからひととおり見てまわり、最後にまた気になったものや気に入ったものをジックリ見る、っていう順に過ごせるといいなぁ」と思っています。

考えてみれば、よほど行き慣れている施設でない限り、何の不安も戸惑いもなく過ごせることってなかなかないかもしれません。
この記念館へお越しくださるお客様に対しても、そういうことを念頭に、丁寧なご案内を心がけたいと思います。

ということで、今回、私が声を大にして言いたいテーマは、
「(ご入館当日中は)何度でも再入場していただけます!!」ということです。


むしろ、
何度もぐるぐるしていただけると嬉しいです!!」と思っています。

※なぜ「再入場」が「ぐるぐる」なのかと言いますと、
展示室の出口の扉は外側からは開かないので
展示室入口から再入場していただくことになるからです。
 
leaf_plan.jpgexit_entrance.jpgお手数おかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

そして、この際
常設展示をまた見たくなるように企画展示を構成しています!!」ということも申しあげておきましょう。

回廊のベンチやカフェ・タンポポでひと休みののち展示室へまたお入りいただくのはもちろん、ご昼食などで館外へお出かけいただいての再入館も歓迎です。

tickets.jpg外出後の再入館時はチケットのご提示をお忘れなく!

どちら様もお忙しいこのご時世、せっかくご来館いただきましたならば、お好きなペース、お好きな順にお楽しみいただけますのが何よりです。展示室2部屋の小さな記念館ではありますが、原稿や解説の文章・映像展示・音声展示など、ご鑑賞にお時間の要る展示品が数々ございます。


ご滞在のお時間が限られていても、あますところなくご覧になって、お気に入りのものがひとつでも......できればたくさん見つかりますように。

karuta_kusanomochi.jpg両の手に桃と桜や草の餅
伊丹万作の手作りかるたは「春の句」を展示中です。

学芸員:中野

2016.02.15 愛用品

記念館便りをご覧の皆さま、こんにちは。寒いと思ったら暖かくなったり、暖かいと思ったら寒くなったり・・・気温差の大きな今日この頃ですが、体調等崩されておりませんでしょうか。年度末に向けて忙しくなる方も多いと思いますので、くれぐれもご自愛くださいね。

さて、皆さまは普段「愛用しているもの」がありますでしょうか。

ご存知の方も多いかと思いますが、ここ記念館には、伊丹さんが仕事や日常生活で愛用していた品々が展示されています。
こだわりやその人独自の感覚で選ばれ愛用されていた品々はそれを使う人を表しますが、伊丹さんならではの感性で選び使っていた愛用品はまさにその通りで、「さすが伊丹さん!」というような、伊丹さんの人となりを大いに感じられるものばかりです。「伊丹十三記念館ガイドブック」や「伊丹十三の本」などの書籍でも紹介されていますが、記念館では愛用品の一部を実際にご覧いただけるんですよ。

お馴染みの愛車・ベントレーをはじめ、常設展示室にあるヴァイオリンや調理に使う道具類や食器類。また、昨年12月より開催中の企画展「ビックリ人間 伊丹十三の吸収術」でもシステム手帳や万年筆、シャープペンシル、アップルのノートパソコン等々の伊丹さんお気に入りの品々が展示されています。

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ご覧になったお客様の中には「自分が使っていたものと同じものを伊丹さんが使っていたと知り、親近感がわきました」という方や、「使いやすそうなので、自分も使ってみたい」という方も。また、伊丹さんが「有次」の包丁(上の写真にも写っています)を愛用していたことを知り、実際に購入して使っているという方もいらっしゃいました。今ではその方の立派な愛用品になっているそうですよ。

そんな伊丹さんの愛用品を、記念館にお越しの際はぜひお見逃しなく!

最後に。
記念館近くの椿神社では、昨日14日から明日16日までの3日間「椿まつり」が開催されています。「伊予路に春を呼ぶまつり」として多くの人に親しまれているお祭りで、この椿まつりが終われば暖かくなると言われています。お祭り前に少し暖かい日がありましたが、今日明日は寒くなりそうですので、行かれる方はしっかり着こんでお出かけくださいね。

スタッフ:山岡

2016.02.08 ●度目の伊丹十三記念館

記念館便りをご覧の皆さまこんにちは。
まだ2月ということで冬真っ盛りの松山ですが、先日記念館の前を流れる川の土手で菜の花を見つけました。
思えば2007年春、開館の準備をしている頃、初めてこの場所いっぱいに菜の花が咲いているのを見て、大変感動したことをよく覚えています。数えてみるとあれからなんと10回目の春がやってこようとしています。

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さて、先日「記念館に歴史あり!」と思うことがありました。


ある時期から毎年来館している、というお客様方がご来館下さったのですが、その方々が「来館は7回目です!」とおっしゃっていたことです。
そのお客様方はなんと毎年同じ時期に同じ場所をご旅行されているそうです。幼馴染同士で現在はそれぞれ大阪と岡山にお住まいということですが、毎年1月末に松山へ旅行するということのみならず、宿、松山で訪れる場所も毎回同じコースを取っていらっしゃるというのだからビックリです。
ちょうど1年前にご来館下さった際、たくさんお話をさせて頂いていたためそのお客様方のことをよく覚えていたのですが、まさか毎年来て下さっているとは知らず!しかも7年連続ということで更に驚きました。ありがたい話です。


旅行の計画を立てるとき、まず「行ったことがない場所」を考える方も多いと思いますが、一度訪れて「ヨカッタ!」と思った場所へもう一度行ってみる、という旅の仕方もあるのですね。目から鱗が落ちました。


確かに、開館9周年を前にして「来館は2回目です」とか「もう何度も来ています」とおっしゃって下さるお客様も年々増えてきているように感じます。


ご来館のお客様の中には「一度伊丹さんの映画を観たことがあるけど、記念館に来て、もう一度観たくなった、帰ったら観ます」とおっしゃる方が多くいらっしゃるのですが、「伊丹十三記念館に行ったことがある」という方にもぜひもう一度ご来館いただきたいと思います。ご自身のみならず、記念館も日々進化!していますので、新たな発見をしていただけること間違いなしかと思います。

スタッフ:川又

2016.02.01 桃の滴

記念館のカフェ・タンポポは、企画展示室を出てすぐ右手にございます。
展示をご覧になった後に一息ついていただける入館者様専用のスペースで、伊丹さんがお好きだったお酒も召し上がっていただけます。

cafe_1.jpgその中の一つに、日本酒『桃の滴』があります。酒どころとして知られる京都・伏見の銘酒です。

展示の余韻に浸りながらゆっくり召し上がっていただきたいと存じておりますので、アルコール類はすべてお一人様一杯までとさせていただいております。そのため、『桃の滴』も可愛らしい180mlボトルでご用意しております。

そのボトルのラベルにご注目ください。中央には、大きな桃が描かれているのですが、その左横に大黒さまがいて、なにやら文字を掲げています。その文字は――

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best_up2.JPG「わが衣に ふしみの桃の 雫せよ」

――松尾芭蕉の俳句です。
芭蕉が、伏見にある西岸寺に任口上人を訪ねた際に詠んだものだそうで、当時、桃が伏見の名物であったことをふまえて、「上人の徳にあやかりたい」という心を詠んでいるのだとか。この句をもとに、『桃の滴』と名付けられたお酒なのですね。
お客様からは、「ほのかな香りが良い」といったご感想を伺います。伊丹さんは、このお酒をどんな風に感じていらっしゃったのでしょうか。そんなことを想像しながら味わうのも、楽しいかもしれません。

「運転しないし、お酒も大丈夫」というお客様は、ぜひどうぞ。カフェからは中庭もご覧いただけますので、きっとおいしく召し上がっていただけることと存じます。

スタッフ:淺野