記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2013.09.02 「わたしゃ怒るよ本当に」

夏の甲子園が終わり、雨が降り、プロ野球の贔屓球団の不優勝が濃厚となり、雨が降り——あれこれに、そこここに、いいえ何もかもに、秋の訪れを感じています。

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くぅ~もぉはぁわーきぃ~。館の裏です。
こんなふうな夏雲、ついこの間まではイヤというほど
見られたのに、見られなくなるとチト寂しいですね...


日差しや空気に秋の気配を感じる頃になると、毎年妙に焦ってきます。
「講演会———!!!」とか「企画替え———!!!」とか、大規模な行事が迫ってくるからで、今年もお盆の終ったあたりから、心身がソワソワジリジリフワフワ。脳が痺れているような、胴体の中身が浮いてくるような感じがして、まったく落ち着かな。

(まぁ、自分の場合、大きな行事を控えていなくても、何かしら焦ってるんだろうな、という気もしないではありません。『アリとキリギリス』の影響でしょうか。あれは私のようなキリギリスタイプにはモーレツな脅しです。イソップ物語、恐るべし)

と、巨大行事でアワアワする前に、現在の企画展でイッチョ気張ってやらねばならない定例作業があったのでした。

2010年12月に開始してご好評いただいている「父と子」展、ずいぶんとロングランになりましたが、会期中に複数回ご来館くださった方にもお楽しみいただけるように、展示品をときどき入れ替えております。見た目にはあまり変わらない入れ替えでも、楽しみにしてくださっているお客様もいらっしゃって、とっても嬉しいです。それを励みに展示に出すものを考えていて「ヨーシ、今度はこれで唸らせちゃうぞー」とニヤニヤしちゃうこともあります。

入れ替える資料には、状態や性質によって、4ヵ月ごとに替えているものと2ヵ月ごとに替えているものがありまして、今回は、その両方の入れ替えが重なる作業月でありました。


<入れ替えた資料>
 ・中村草田男氏より伊丹万作の妻・池内君子への書簡
 ・万作が撮影した写真アルバム
 ・挿絵画家時代の万作が携わった少年雑誌
 ・回覧雑誌『朱欒』
 ・万作手作りの芭蕉かるた


写真つきで一部ご紹介します。


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大正時代の少年雑誌『少年世界』『中学生』『中学世界』。
お話によって挿絵を描き分けているのをご覧いただけるように、
いろいろなタイプのものを選んでおります。

 
karafutomono.jpg『朱欒』コーナーでは、万作が自身の経験に基づいて書いた
「樺太シリーズ」もご紹介しています。

他にも、年季の入った松山っ子にはたまらないであろう、懐かしの風景の写真などもございます。(小さいのでお見逃しなく!)

さて、現在展示中の資料のうち、わたくしの一番のおすすめは——


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回覧雑誌『朱欒』第6号(大正15年2月か)
池内義豊(伊丹万作)による批評欄より

おっと、「わたしゃ怒るよ本当に」とは......
他の同人の作品への批評や、自分の作品への批評への返答を書き込む『朱欒』の「批評欄」で、おだやかでないひとことですねぇ。
一体、万作は何に怒っていたのでしょうか。その理由を探りながら『朱欒』をご覧いただきますと、万作が映画界に入る前の青春時代のこと、仲間たちとの創作活動への思いを、いっそう深く感じていただけることと思います。

現在の内容での展示は10月下旬までとなります。
「今度また訪ねてみようと思うのだけど、今はどんな資料が出ているの?」と気になる方は、ご来館前にお問い合わせください。

夏の疲れの出る時節柄、せっかくの秋をグッタリして過ごすことにならぬよう、くれぐれもご自愛を。

学芸員:中野