記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2011.11.13 クリアファイル(A5)新発売

大人気のクリアファイルに新サイズが登場しました。
今回は「A5」です。

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デザインは1971年4月に雑誌「ミセス」に掲載された伊丹十三のエッセイとその挿絵です。レイアウトも伊丹十三自身が行ったものです。当館の常設展示室にはこのエッセイの原画が展示されています。

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A4サイズと並べるとこんな感じです。

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カバンにA4のクリアファイルを入れるのは難儀な時がありますね。そんな時にA5が大活躍です。
例えば旅行時。地図や情報・チケット類など入れるのにジャストサイズです。

 最後に、「伊丹十三の本」に掲載されているこのエッセイの全文です。クリアファイルにのっている部分はエッセイの前半部分で、続きがありますのでよろしければご一読ください。

 

ミセス「のぞきめがね」1971年4月  伊丹十三

サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」にこういう一節がある
「ボクが卵を食うてる時に例のスーツケースを持った二人の尼さんが入ってきてカウンターのボクの隣りに腰かけたんだよね。連中はスーツ・ケースをどうしていいかわかんないらしいのでしょうがないからボクが手を借してあげたんだけどそれがすごい安物のスーツケースなのよね。偽せ革でさ。まあ、そんなことはどうでもいいのかもしれないけどともかくボクはさ安物のスーツケース持ってる人っての耐えられないんだナ こういういい方ひどいってのわかってんだけどオレ、ほんとに安物のスーツケース持ってる人ってのただ眺めるだけでほとんど憎んじゃうんだもんね」

以下学校時代のルームメートのスーツケースの話になり結局彼はこういうふうに結んでいる
「つまりこういうこと。もしもきみのスーツケースが相手のよりうんといい場合、そういう相手とルームメートになるのはすごくむつかしいんだよね。特に相手がすごく頭がよくてセンス・オブ・ヒューマーがあったりするとこんな人がスーツケースのボロイのなんか気にするわけない ときみは思うだろ?気にするんだナこれが。すごく気にするんだから」

中年の男が持ち物に凝ってるのってなんかとても悲惨じゃない?
時計はオーディマ・ピゲ ライターはデュポン タイはエルメス
それでいて傘が折りたたみ式だとか、スーツケースがビニール製だとかいうのはほんとうにいやじゃない?
下の男は上から下まで一万円くらいの身なりだけど こういう男を外國のホテルじゃ下へもおかないんだって。
ホテルってのはスーツケースで人を見るからね下はルイヴィトン製でこれだけで二百万は下るまい。

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(「伊丹十三の本」2005年4月20日新潮社発行 )

 

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【クリアファイル(エッセイ)】1枚210円(税込) オンラインショップはこちらから

スタッフ:川又