記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2011.05.16 オンラインショップにて『張り子の犬』の販売を開始しました。

記念館便りをご覧の皆様こんにちは。

この度オンラインショップにて、安産と子育ての縁起物として知られる『張り子の犬』の販売を開始いたしました。

 

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この『張り子の犬』は記念館の開館以来人気の商品でしたが、職人の方が一つ一つ手作業で仕上げているためオンラインショップでは在庫の管理が難しいと考え、これまでは店頭でのみ販売をしていました。

しかしあまりの愛らしさのためか記念館便りの写真などでご覧になった方からのお問い合わせが多く、この度満を持して発売することに致しました。

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この『張り子の犬』は伊丹十三と宮本信子に子供が生まれる際に知人から頂いたものを復刻したものです。箱も記念館をイメージしたパッケージに入っています。箱の中央に描かれているイラストも伊丹十三が描いたものです。

 

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犬はお産が軽いことから張り子の犬は安産と子育ての縁起物とされているそうです。

記念館でも出産前後の方へのプレゼントとしてお買い上げくださる方が大半です。

もちろん、「かわいいから欲しい!」という方も大歓迎です!

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最後に伊丹十三が張り子の犬を頂いた際に書いたエッセイの一部をご紹介いたします。ちなみに、このエッセイの全文は商品に同封されています。2005年に新潮社から発売された『伊丹十三の本』にも掲載されています。

 

 

張り子の犬をお買い求めの方は  →こちら

 

 

 

※※※※※伊丹十三エッセイ「張り子の犬」※※※※※

 

 

冠婚葬祭というものは難しい。

以前、友人の村島健一さんのお父様が亡くなった時も、私はお座なりに、百合の花とお香奠だけを持って告別式に出かけ、つくづく自分の駄目さ加減を思い知らされた。

他の友人たちは優しい人たちばかりだったから、なにがなし心暖まるような、真心通う品品をそれぞれに持参したらしい。

 

 

みんなそれぞれの器量で全力投球している。百合の花なんていう無責任なのは私一人であった。

 

そのあと何年か経って、今度は山口瞳さんのお父様が亡くなった。

 

 

前のことがあるから、今度こそは何か好い知恵を出さねばと思い、ああでもない、こうでもないと考えるのだが、どうも、何を持って行っても見すかされそうな気がして、何も思いつかぬ。

今考えてみれば当たり前の話だ。今度こそみんなに遅れをとるまい、恥をかくまい、俺だって真心じゃひけをとらぬぞ、などという発想自体、自分の立場の確保に関わるのみで、相手の立場を思いやる心とは無縁のものであろう。これでは、友人も、友人の不幸も、単に「心優しい自分」というものを演じてみせる舞台に過ぎなくなってしまう。

 

さて、最後になったが、この張り子の犬は、この頁のレイアウトをやっている間篠秀行さんからいただいた。以下、張り子の犬に添えられていた、間篠さんの心優しい手紙。

 

伊丹十三様

宮本信子様

 

その後いかがお過ごしですか?

僕のところは予定日よりも10日早く、121日に2番めの息子が生まれました。たまたま女房の誕生日と重なりました。

長男は一也というのですが、二番めですので、二郎と名づけました。あとで女房の話によると、病院にいる犬はタローという名だったそうです。さか子だったのですが無事安産でした。

妹から縁起物の張り子の犬をもらってあったのですが、そのせいかもしれません。

安産と子育ての縁起物ですので、妹にたのんで買ってきてもらいましたのでお送りします。

「案ずるより生むがやすし」とか、無事に赤ちゃんが生まれますよう祈っています。

  

 

※※※※「私の博物図鑑」ミセス 1972年3月掲載 ※※※※※ 

 

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スタッフ:川又