記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2010.05.23 開館3周年記念・収蔵庫ツアー開催のご報告

tour10-2.JPG5月15日の開館記念日から3日間、1日2回、計6回の収蔵庫ツアーを開催いたしました。
このツアーは、当館の収蔵庫の2階にある「展示風」の収蔵スペースをご見学いただくもので、
直筆原稿・メモ類
愛用品
湯河原のお家の一室の再現
蔵書
衣類・服飾小物
の5つのコーナーをご案内しています。

各回の定員6名様×6回=定員36名様のところに、50組88名もの方々からご応募をいただきました。過去最多!と驚きつつも泣く泣く抽選...当選確率は約40%...残念ながら今回はご参加いただけなかった皆様、メゲずに次回もご応募くださいませ。どうかよろしくお願いいたします。

さて当日。
開館記念日の収蔵庫ツアーは今年で3回目。アガり症の私でも、3回目ともなれば少しは肝が据わったかと思いきや、やっぱりド緊張。
「そういえば、ピアノの発表会のとき、出番直前になってもヘラヘラしている私に、母が『アンタ、アガらないの?』って聞いたら『アガるって何?』って言い放ったっていう逸話があったなぁ、子供の頃は大物だったんだな、私。あはは」など、懐かしいことを考えてリラックスを試みるもカチカチは解消されず...

そうこうする間に「そういえば、大学院生の頃には、研究発表のたびに緊張しまくるものだから、『毎度毎度、中野さんの緊張ぶりが伝染って聞いてる俺の方が緊張するわ!』って友達に言われたことがあったなぁ」なんてなことを思い出して、さらに固まってしまうのでした。

というように、3年目になってもアガり症改善の見込みのないワタクシではありますが、情報はソレナリに蓄積されつつあるようで、ご説明できることが(勤めはじめた頃に比べれば)だいぶ増えたなと感じました。そして、緊張で意識朦朧としている割にはペラペラと語りすぎる自分を感じました。そんな小人物な学芸員に「ガンバレ!」の眼差しを送ってくださる皆様のあたたかいお気持ちも、ヒシヒシと感じました...すみません、声が裏返りっぱなしでしたね...ありがとうございました。

以下、参加者の皆様にお寄せいただいたアンケートのご回答です。

●伊丹十三さんの私生活をのぞき見たような、とても興味深い展示物たちでした。収蔵庫を一般公開しないのはもったいないです!!予約制にしてでも、もう少し広く見せてあげてほしいです。

●説明が非常に丁寧で、収蔵物に対しての思い入れも良くわかり参加出来てよかったです。どの位の期間で展示物が入れ替わるのかわからないので度々訪れたいと思いますが、収蔵庫を見学できたので伊丹さんの人となりも良く分かり意義深いものでした。ありがとうございました。

●「すばらしい」というひとことです。誘って下さった友人に感謝しています。あこがれの伊丹十三、そして宮本信子さんの全人格にふれた思いで感動しきりです。一回では物足りませんので、あと何回も来館を希望しています。

●初めて記念館させていただきました。かれこれ40年余りの伊丹さんのファンと致しましては、たくさんの収蔵品にふれることが出来感動!!ご親切にご案内いただき、又、松山もとてもおだやかな街で又是非来館したいと思っております。

●伊丹さんの日常生活を少しかいまみたようでした。もう少し近づいて拝見したい気もいたします。又機会があれば来たいと思います。本日は有難うございました。

●十三さんは非常にこり性で何事にも熱中していたんだなあと思いました。自分もそれなりにこる方だが、次元が違うと、一流と言われる人の一部に触れて幸せです。

●伊丹さんの愛用品など拝見することができて、伊丹さんの生前のご様子が目に浮かんできました。ご家族の為に引越されたとの事など貴重なお話も聞けて、とても良かったです。お招き頂き有難うございました。

●松山出身という事で、すごく身近に感じています。『お葬式』を見たのは私が中学生の時でした。今回思いがけず収蔵庫ツアーに参加できて伊丹さんをまたよりいっそう近くに感じる事ができてとても嬉しいです。食器や本、愛用していた小物などとても思い入れのある品物ばかりで、帰って家族に話したいと思います。5月は初めて来たのですが、中庭の風がとても気持ち良くていい感じでした。

●蔵書を見るのが楽しみでたので、それを確認できて良かったです。できれば手に取りたいのですが、それは無理でしょうね。

●収蔵品の解説がほしい。(例えば主な蔵書本のリストとか)

●収蔵庫記念にお招きいただいてありがとうございました。伊丹十三さんのセンス、考え方に、凡人とは明らかに違うと分かりました。個人的には、お描きになられた絵がどれもおもしろかったです。ユーモアたっぷりでした。映画だけでなくお料理や音楽なども幅広いことに興味をお持ちだったことが、伊丹映画に表れているのだと思いました。

●今日、普段見ることができない収蔵庫を見ることが出来てよかったです。伊丹さんの生活の一端を見ることができました。あた機会があれば参加してみたいと思います。ありがとうございました。

●いつもウォーキングで眺めながら歩いています。きっかけがなくてなかなか入館できませんでした。今日は素敵な企画で入館できとても嬉しい思いをしています。収蔵庫内はとても魅力的な空間で、ここで生活したいなと思いました。スタッフの方々のおもてなしが暖かで、まるで故郷へ帰ったようなおだやかでゆるやかな時間が過ごせました。ありがとうございました。又来ます。

●貴重な物を見せていただき、ありがとうございます。一つ一つの物へのこだわり、生き方へのこだわりが伝わりました。

●すべてにおいて"こだわり"を持ち "本物"を愛した方だということがわかりました。きっととても繊細な方だったのだろうなと思いました。

●伊丹さんの色々な世界が見れてとてもよかったです。この収蔵庫ツアーでますます伊丹さんが好きになりました。

●収蔵庫がそのまま展示室になってるなんて、素敵だなと思いました。本棚をじっくり見ていると、漱石全集があったり、心理学の本があったりとおもしろかったです。

●展示室で見たもののエピソードや、普段の十三さんのお話が伺えて、十三さんのお宅に伺ったようでした。とても楽しく、また参加できたらと思います。いろいろなお話をありがとうございました。

●伊丹ワールドにタイムスリップした充実のひとときでした。ありがとう。

いえいえ、こちらこそありがとうございました!です。

staff.JPG収蔵庫ツアーでは、私たちが申しあげる説明を超えて、お客様がそれぞれに何かを感じ取ってくださるのが何より嬉しく、予想外の質問や反応を示していただけるのが楽しみでもあります。今回も熱くて素敵なお客様にご参加いただいて、幸福な3日間でした。

宮本館長オフィシャルサイトの「タンポポだより」にも、お客様をお迎えした館長の奮闘記(?)が近日掲載される予定です。お楽しみに。


写真上:収蔵庫ツアーの模様。「湯河原」コーナーをご覧になるみなさん(と、ド緊張中の私)。
写真下:3周年イベント最終日、閉館後に撮った記念写真。なぜか全員爆笑中。


学芸員:中野