記念館便り ― 記念館からみなさまへ

記念館便り

こちらでは記念館の最新の情報や近況、そして学芸員やスタッフによる日々のちょっとした出来事など、あまり形を決めずに様々な事を掲載していきます。

2009.11.09 うぬぼれかがみ

記念館だよりをご覧の皆さんこんにちは。秋晴れの心地良い日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?

ところで皆さん『ほぼ日刊イトイ新聞』「伊丹十三特集」の中の、建築家の中村好文さんのコンテンツ内のコラム、「ようおいでたなもし 松山」はもうご覧になられましたか?

 記念館スタッフがそれぞれ記念館周辺のオススメスポットを紹介しているこのコラムには、ほぼ日のスタッフさんが描いて下さった記念館スタッフの似顔絵がついています。それにしてもこの似顔絵、それぞれのスタッフにそっくり!

 自分の似顔絵だけは似ていないなー、と思っていたのですが、周りの反応を見ているとやっぱり似ているようで・・・「自分のイメージしている自分」と「他人から見た自分」とはかけ離れていたんですね!

伊丹十三のエッセイに、まさしくこんな今の私に向けて言っている様な話がありましたのでご紹介します。

「鏡というものは、なかなか油断のできない代物であると思う。人を欺く、のである。つまり、人は鏡を客観的なものと思っている。鏡に映し出された己の姿を客観的なものと思っている。ハッハ、とんでもない。

 中略 自分に都合の悪いところは、なんとなくぼやけて印象が薄くなり、自分のいいところ、気に入っているところだけが、殊更に誇張されて心に映る。

 中略 しかも、相手が鏡であるから、その自分勝手な像を、いかにも充分に客観的な像であるかのように思い込むのである。」(『再び女たちよ!』 「うぬぼれかがみ」)

 耳が痛いのですが・・・冷静な分析力はさすが伊丹十三・・・

再び女たちよ!』や『日本世間噺大系』には、こんなふうに物事の核心をズバリ教えてくれる話や、こうなんとも言えないところを突っついてくる話が詰まっています。機会があったら是非読んでみて下さいね。

スタッフ:川又